ガソリンや電気・ガス、食品、サービスなど、身の回りのさまざまな値上げが、日本経済を直撃している。

 5月の全国消費者物価指数は、前年同月比2・1%上昇と、4月に続いて約7年ぶりの上昇幅となった。

 ガソリン価格の上昇を抑えるため、政府は昨秋から石油元売り各社に補助金を出して対策を行っているが、急速に進む円安の影響で輸入物価が上昇している。

 歯止めのかからない物価高への国民や事業者の不安や不満は強く、与野党の大きな争点に浮上している。

 政府は参院選公示前日の「物価・賃金・生活総合対策本部」で、節電した家庭にポイントを付与する制度や、肥料の値上がりを緩和するための支援金制度の創設を打ち出した。政府の対策に対し、不十分だとする批判を意識しての追加策だろう。

 それに対し野党は、消費税の引き下げや廃止を掲げている。低所得者や生活困窮者への現金給付、中小企業減税や社会保険料減免などの訴えもある。

 立憲民主党や共産党は、日銀の大規模な金融緩和が円安を招き、「悪い物価高」につながっているとして見直すとしている。

 消費減税の主張に対して、自民党は社会保障の安定財源だとして否定している。税制や財政、社会保障の在り方を含め、具体的な議論が欠かせない。

 物価上昇が続く中で、生活や消費を維持していくには、持続的な賃上げが必要だ。

 上場企業の2022年3月期決算は、大企業を中心に業績回復が目立ち、今春の賃上げや夏のボーナスの見通しについても比較的高い水準となっている。

 だが、厚生労働省が発表した4月の毎月勤労統計調査によると、物価上昇の影響を加味した実質賃金は、前年同月に比べ1・2%の減少だった。

 原材料高の影響を色濃く受ける中小企業などでは、賃上げの勢いは広がっていないのが実情だ。

 公約では、自民や公明、共産や社民など、与野党問わず最低賃金の引き上げをうたっている。

 中小企業もコスト上昇分を適切に価格転嫁できるようにし、収益改善を賃上げにつなげることが大切だ。それが消費に回る好循環こそ求められる。

 各党は、そのための方策を示してほしい。