合成洗剤の追放と粉せっけん使用を訴えるパレード。琵琶湖条例の制定につながった(1979年5月、大津市内)

合成洗剤の追放と粉せっけん使用を訴えるパレード。琵琶湖条例の制定につながった(1979年5月、大津市内)

 住民運動を契機に生まれた「滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例」(琵琶湖条例)が今秋、成立40年を迎えた。赤潮の原因となるリンを含む家庭用合成洗剤の販売禁止などを柱とし、水質改善に大きく寄与してきた。ただ、外来水草の繁茂やプラスチックごみ問題など、湖の生態系に影響を与えかねない新たな課題も浮上しており、これまで以上に幅広い保全対策が求められている。

 琵琶湖では高度経済成長を経て水質悪化が深刻化し、1977年に大規模な淡水赤潮が初めて発生した。危機感を抱いた住民がリンや窒素を含まない粉石けんを推進する「石けん運動」を展開した。

 県は水質改善に向けた条例づくりを進め、79年10月に県議会で可決・成立、翌年7月に施行した。工場への排水規制に加え、リンを含む家庭用合成洗剤の販売・使用の禁止まで盛り込んだ条例は当時画期的で、滋賀が「環境県」として知られるきっかけになった。

 県によると、79年度から月1回実施している水質調査では当時に比べてリンや窒素が減り、透明度も改善傾向にある。ただ、汚濁の指標である化学的酸素要求量(COD)は横ばいで、窒素やリン(南湖)を含め、今も国の環境基準を超えている。外来水草の繁茂や在来魚介類の減少など生態系を脅かす新たな課題も浮上している。

 近年では海洋に流れ出たプラスチックごみによる環境汚染が世界的に問題視され、県もプラごみの削減を迫られている。来年度に県議会への提案を目指している農業振興条例案に、肥料袋などの農業系ごみの流出防止対策を盛り込むことも検討中だ。琵琶湖条例では適切な肥料の使用や排水の管理を農家に義務づけてきた経過があり、プラごみ対策でも連携を強化し抑制を図る方針だ。

 県琵琶湖保全再生課は「住民の先進性と熱意が条例をつくり、その後の水質改善につながった」と意義を強調する。琵琶湖の生態系は複雑で今なお不明な点は多いが、「時代とともに変化する課題と向き合い、研究の知見や漁業者の感性などを総動員しながら環境保全に努めたい」としている。