世界遺産登録を目指す彦根城(滋賀県彦根市)

世界遺産登録を目指す彦根城(滋賀県彦根市)

彦根城の世界遺産登録に向け、決意を語る和田市長(彦根市役所)

彦根城の世界遺産登録に向け、決意を語る和田市長(彦根市役所)

 2024年度の世界文化遺産登録を目指す彦根城について、滋賀県と彦根市は29日、推薦書の素案を文化庁に提出したと発表した。彦根城は、日本が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産条約を締結した1992年、候補地として世界遺産暫定リストに記載されたが、30年が経過する中、初めて国内推薦の候補となった。本年度、奈良県の「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」とともに審議される。

 推薦書素案は28日付で20年度以降、3度目の提出。「約250年にわたる江戸時代の安定と平和の象徴としての彦根城」とする普遍的価値の基本コンセプトを維持し、価値や特徴の説明などをより分かりやすくしたという。

 「周辺から隔絶した一体的な空間構造」として、城の中堀内側に大名の御殿や重臣の屋敷など、政治や儀礼といった藩の意思決定に必要な施設を集め、領地全体を一元的に統治したと強調。さらに「象徴的な形態」として、天守をはじめ、櫓(やぐら)や石垣、水堀などの城郭形態が、城下や琵琶湖上から効果的に見えるように造られ、統治の権限と責任を持つ藩の存在を象徴するとした。

 この二つの特徴から、統治拠点の機能だけでなく、大名が武力や伝統によらずに、将軍の権威を唯一の根拠として領地の安定に専念できたとし、「世界に類を見ない独特の仕組みで、戦国時代からの争乱に終止符を打ち、その後の安定の維持を可能にした」とした。

 また、常に将軍を支えた藩主・井伊家の存在や、明治以降に全国で多くの城郭が姿を消す中で、一帯の人々の意思で破壊を免れ、まちのシンボルとして今日まで大切に保存されている点も挙げた。

 会見した和田裕行市長は「長年の悲願を達成できる内容。千載一遇のチャンスだし、不退転の決意で臨み、何としてでも世界遺産登録を取りにいきたい」と述べた。