参院選は10日の投開票までの運動期間を折り返した。

 厳しい暑さや物価はうなぎ上りだが、各党の論戦の盛り上がりはどうだろうか。

 政権選択が争われる衆院選と比べ、参院選は過去総じて投票率が低い傾向にあり、3年前の前回は48・80%と半分を割り込んだ。

 出口の見えない感染症との闘いや大国による侵略戦争、資源・食料高騰など、歴史的な難局に見舞われる中の参院選が、今後の日本にどういう意味を持つのか。改めて参院の存在意義も問われる。

 任期が6年と長く、解散のない参院は、長期的な視点から熟議し、衆院の議決を点検する「良識の府」の役割が期待されてきた。

 過去には野党が多数を占める「ねじれ」が緊張感を生み、政権交代につながったこともある。

 だが、2013年参院選でねじれ解消後、与党が数の力で押し通す「1強政治」の下で衆院を追認する同質化が進んだ。先の通常国会も26年ぶりに政府提出の全法案が成立する中、参院審議の見せ場はほとんどなかった。

 参院自身が二院制の意義や正統性を示せていないのが問題だ。

 公示が迫った先月8日、参院改革を議論してきた与野党協議会がまとめた報告書は、懸案の「1票の格差」を是正する制度改革の結論を先送りした。

 参院は、最高裁から10、13年選挙の格差は「違憲状態」と是正を求められ、自ら抜本改革を約束しながら弥縫(びほう)策を繰り返してきた。前回19年の最大格差3・00倍は合憲の判断ながら、国会での是正努力が前提だったのを忘れたか。

 報告書は、参院を「地方の代表」と位置づけ、隣接県を一つの選挙区とする「合区」は解消すべきとの意見が多いとの方向性は盛り込んだ。ただ、合区解消を改憲に絡めようとする自民党に対し、立憲民主党は国会法改正で可能とし、公明党や日本維新の会は11ブロックの大選挙区制を唱えるなど隔たりが大きい。

 それぞれ長短所はあるが、具体策に踏み出せないのは立法府として怠慢である。自ら決められないなら第三者会議に委ね、結論に従うのも一案だろう。

 参院の独自性や存在感を高める改革は、衆院との役割分担の議論と不可分だ。投票価値の平等を求める一方、人口減少が進む地方の声の反映をどう工夫するか。党利党略でなく、多様な民意をすくい取り、議論を深める姿勢と仕組みこそ良識の府に求められよう。