日米韓首脳会談が、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に合わせ、スペインで開かれた。3カ国首脳による会談は2017年9月以来、約5年ぶりだ。

 北朝鮮による弾道ミサイルの脅威に対抗し、核開発を阻止するため、安全保障協力を強化することで一致した。海洋進出を強める中国を念頭に結束も確認した。

 ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、東アジアでも武力による現状変更の脅威に対し、日米韓が緊密につながり、対峙(たいじ)していこうということだろう。

 会談で岸田文雄首相は「北朝鮮による挑発の可能性が深刻に懸念されている。日米韓の連携強化が不可欠だ」と強調した。バイデン米大統領や尹錫悦(ユンソンニョル)韓国大統領も3カ国の協力の重要性を表明した。

 各首脳とも方向性は一致しており、トップ会談を再開した意味は小さくない。

 ただ、長く中断した要因となった日韓の歴史問題のこじれは、まだ根が残ったままだ。

 韓国の元徴用工問題では、裁判の原告側が、差し押さえられた日本企業の資産を売却して現金化する手続きを進めている。問題は解決済みとする日本との間で、「戦後最悪」と言われるほど関係が冷え込んだ。

 そうした中、5月に就任した尹大統領は、日韓関係の改善に意欲をみせる。文政権が一時破棄を決めた日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)の運用正常化を表明するなど、実利主義外交を志向しているという。

 それに対し、日本は韓国が蒸し返した歴史問題を解決しない限り、話し合いには応じないとの立場を崩していない。岸田首相は、韓国側から打診された日韓首脳会談に難色を示し、開催を見送った。

 徴用工問題などで何の進展もないまま会談に応じれば、国内の保守層を中心に反発を招き、参院選にマイナスになると判断したのだろう。

 ただ、日韓の足並みの乱れは北朝鮮や中国を利することになりかねない。対中戦略を優先したい米国には大きな懸念材料になっている。

 NATO首脳会議では、今後約10年間の指針となる新たな「戦略概念」を採択し、「インド太平洋地域はNATOにとって重要」と記し、アジアへの関与を強める方針を示した。

 日本は、中国や北朝鮮の軍事的挑発に反対する幅広い国々と連携し、地域の安定を図ることが求められる。