通信ネットワークは現代社会の基盤となるインフラだ。そのもろさが浮き彫りになった。

 KDDI(au)で大規模な通信障害が発生した。影響は携帯電話の利用者など最大3915万回線に及び、発生3日目になっても通話困難が続いた異例の事態だ。

 台風4号が接近し、新型コロナウイルス感染拡大や熱中症などさまざまなリスクが懸念される中での障害発生である。けが人が119番できずに通報が遅れたり、高齢者の安否確認に支障が出たりと、命にかかわりかねないトラブルもあったという。

 大規模障害は昨年10月にNTTドコモ、2018年にもソフトバンクで起きている。その教訓を生かせず、広範囲に影響を拡大させたKDDIの責任は重い。

 高橋誠社長は会見して陳謝したが、発生から1日以上後だった。さらなる混乱を最小限に抑えるとともに、原因究明と再発防止に全力を挙げなくてはならない。

 金子恭之総務相は法令上の「重大事故」に当たるとの認識を示し、復旧対応や情報の周知が不十分だったとKDDIを批判した。厳しい行政指導は避けられない。

 そもそも大規模障害が繰り返されるようでは、政府が旗を振る「デジタル社会」は根本から危うくなる。通信インフラの安全性をどう確保するのか、政府の取り組みも問われる。

 障害は、定期メンテナンスで音声通話サービスに関する機器の交換時に起きた不具合がきっかけという。回復作業を進めたものの、別のシステムにも連鎖的に不具合が生じ、通話・データ通信がつながりにくい状況が続いた。

 気温や降水量を観測する地域気象観測システム(アメダス)のデータ配信や物流システム、地方銀行のATMにも支障が出た。荷動きの把握が滞って貨物列車の遅れを招き、KDDIから回線を借りる楽天モバイルなど他の事業者の顧客にも波及した。

 KDDI幹部は「不具合の対処手順は準備しているが、今回は複数の不具合が連鎖して起きた」として「想定外」だと強調する。だが、過去に起きた大規模障害の原因などについて、総務省は情報を業界で共有するよう要求していた。想定外で済まされる話ではない。

 どのような対策が求められるのか、KDDIだけでなく、携帯業界全体で取り組む必要がある。政府も事業者任せにせず、課題をすくい上げて共有する仕組みづくりを進めるべきだ。