今回の参院選は女性候補が過去最多になったが、それでも3割程度にとどまる。昨年の衆院選当選者でみても1割に満たず、先進国の中でも女性の国会議員の割合は極めて低い。

 2022年版の男女共同参画白書には「もはや昭和ではない」との文言が入った。最も昭和感が漂うのは国会ではないか。

 参院選の女性候補は立憲民主党が51・0%、共産党が55・2%と5割を超えた。一方、自民党は比例代表に限った「3割」の目標を達成したが、全体では23・2%。公明党は20・8%にとどまった。

 「政治分野の男女共同参画推進法」が施行されて4年余り。均等には遠く、専門家は選挙直前の女性擁立が目立つとして「数ありきで、土壇場になって集めた印象」と指摘する。本気度が疑われる。

 ジェンダー問題の象徴とも言われる選択的夫婦別姓制度の論戦も低調だ。

 立民、公明などが公約に導入を掲げた一方、意見が分かれる自民は「氏を改めることによる不利益を解消する」などと主張し、具体的な言及はしなかった。

 法制審議会が制度の導入を答申したのは1996年。だが夫婦別姓を認めていない民法の規定は合憲とした昨年の最高裁判決もあり、議論は停滞している。

 多様性尊重の国際的潮流に逆行するような司法判断は他にもある。大阪地裁は先月、同性婚を認めていない民法や戸籍法の規定を「合憲」とした。

 ただ、現状のままでは違憲となる可能性にも言及し、政府や国会に対応を促した。同性カップルを公的に認める「パートナーシップ制度」を導入する自治体は200を超えている。

 それでも法制化の壁は高い。与野党は昨年、LGBT(性的少数者)への理解増進法案の国会提出に合意したが、自民が党内手続きを見送り、提出できなかった。自民の参院選政策集からは、衆院選ではあった「議員立法の速やかな制定」との記述が消えた。

 野党は公約に差別解消や同性婚の法制化を打ち出すが、実現への道筋は見えない。

 だれもが生きやすい社会をどうつくるのか。社会的孤立や困窮などの問題とも通じる重要なテーマである。若者層の関心も高く、もっと議論を進めるべきだ。

 総じて自民は後ろ向きなだけに、岸田文雄首相にはスタンスを明確にすることを求めたい。