観光客で混雑する五条坂の交差点で交通整理に当たる誘導員。「東山3K」の発足当初からの取り組みだ(京都市東山区)

観光客で混雑する五条坂の交差点で交通整理に当たる誘導員。「東山3K」の発足当初からの取り組みだ(京都市東山区)

 京都市東山区内の社寺や企業などで組織する東山「観光・交通・環境」協力会議(東山3K)が、今秋で設立15年を迎えた。増え続ける観光客と、市民の日常をいかに共存させるか。その歩みからは、他の地域に先駆けて「オーバーツーリズム」に向き合い続けてきた同区の労苦が見えてくる。

■歩道誘導や外国語マップ作る
 「信号変わりまーす」「広がらないで」。紅葉シーズンを迎えた五条坂。警備員が交差点で手を広げ、横断歩道の観光客を誘導する。身に着けているベストには「協力会議」の名が記されている。
 交通誘導員の配置は、東山3Kが発足した2005年から続く。当時、京都市の年間観光客数は4500万人を超え、全国から流入する車やバスが交通渋滞を招き、歩道は観光客で混雑するなど、市民生活に深刻な影響を与えていた。
 東山3Kは社寺や商店街、ホテル、まちづくり団体などで構成。会員が負担した協力金を元に、環境改善に向けた事業を展開する。東山区役所が事務局を務めるが、公金は入れず、民間主導で取り組みを続ける。
 誘導員の配置とともに初期から力を入れるのはトイレ不足の問題。当時はコンビニのトイレ貸し出しもまだ一般的ではなく、観光客が民家に駆け込む事態も頻発していた。観光ルートの公共施設や商店、コンビニなどへ、トイレの開放に協力を求め、ペーパー代や清掃の実費を負担することで支えた。
 当初36団体だった協力会員も、今では65団体まで拡大した。区まちづくり推進課は「東山は区域が狭く、問題意識を共有しやすかったから、他の地域には無い形で団結できたのでは」と話す。
 08年には年間観光客数が5千万人を突破。さらに近年は外国人が急増し、昨年の外国人宿泊者数は450万人超に。祇園町南側地区での迷惑行為が顕在化するなど、課題も新たな局面に入った。東山3Kの活動も、観光客と住民双方に異文化への理解を求め、円滑なコミュニケーションを促すような内容のものが増えつつある。
 具体的には、英語と中国語、韓国語版の散策マップ▽日本語と対訳された各言語の単語や、例文を指さすだけで道案内ができるマップ▽バス停周辺での観光客の混雑を防ぐため、停留所の配置を明示した地図―などをこの間に製作。多くの課題がある中でもより焦点を絞る形で、効果的な取り組みを目指す。
 東山3Kの発足当初から議長を務めている川崎純性・六波羅蜜寺住職は「いつまでも住み続けたい、訪れたい魅力溢れるまちの実現に向け、これからも知恵を結集したい」としている。