地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に基づき2020年に提出する当面の温室効果ガス削減目標について、政府は据え置く方針を固めた。

 引き上げずに、現在と同じ「30年度に13年度比マイナス26%」とする。原発再稼働が進まず、エネルギー基本計画の見直しが始まっていないためという。

 パリ協定には190近い国と地域が加入する。目標引き上げは気候危機回避のために不可欠な国際的な要請だ。

 先進国や大排出国の責任が問われており、据え置きでは批判を免れないだろう。

 18年策定のエネルギー基本計画は、再生エネルギーの「主力電源化」を盛り込む一方、原子力や石炭火力発電も温存している。

 政府は30年度の電源構成に占める原発の割合を20~22%へ引き上げる方針を掲げるが、達成はほぼ不可能とみられている。

 再稼働は5原発9基のみで、立地自治体も同意に慎重姿勢を崩さない。さらに原子力規制委はテロ対策施設が未完成の場合、運転停止を求める方針だ。

 一方で、二酸化炭素の排出量が特に多い石炭火力発電に大きく依存している。目標の引き上げどころか、現在の26%削減の実現さえ難しくなっている。

 太陽光や風力といった再生エネへの転換を急ぐ世界的な潮流に日本は取り残された状況だ。

 もはや非現実的な原発頼みの構造が、対策の足かせになっているのは明らかだ。政策の根幹が揺らいでいることを認め、抜本的に転換させるときではないか。

 各地で異常気象による災害が続発し、温暖化の影響に直面している。スウェーデンのグレタ・トゥンベリさん(16)の活動などで対策強化の機運は高まっている。

 世界2位の温室効果ガス排出大国である米国のトランプ政権はパリ協定離脱を国連に通告し、非難を集めた。日本の役割が期待されるが、石炭火力を続ける姿勢に厳しい目が向けられている。

 削減目標は、来月スペインで開く気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)で、小泉進次郎環境相が表明する方針だ。

 政府は、次の提出期限の25年よりできるだけ早く新目標を示す方針を説明して批判回避を図る考えというが、先送りで理解を得られるとは思えない。

 石炭火力の抑制など具体的な行動を示し、目標引き上げを明確に約束するべきだ。