千人以上の留学生が所在不明になっている東京福祉大に対し、文部科学省が新規の受け入れを当面見合わせるよう指導した。

 私学助成金の減額や不交付も検討するという。

 文科省によると、東京福祉大の留学生数は2018年までの5年間で15倍に膨らみ、早稲田大に次ぐ全国2位の約5千人となった。

 所在不明者は正規課程への準備段階の「学部研究生」が大半で、1610人に上る。開講当初から欠席し、そのまま所在不明となるケースも多いようだ。

 学生収容のため急ごしらえで雑居ビルの上階を教室に改築し、教室内にトイレがある異様な環境が明らかになった。

 コストをかけずに利益を優先し、日本語能力が不十分な留学生を安易に受け入れる―。そうした大学の姿勢が厳しく批判されるのは当然だろう。

 だが、政府の対処も遅すぎたといわざるをえない。留学生に関する大学側の報告を文科省がきちんと精査していれば、ここまでの事態は招かなかったはずだ。

 政府は08年に「日本を世界により開かれた国にする」と、留学生30万人計画を20年までに実現させる目標を掲げた。

 目標達成は近いようだが、受け入れを促進してチェックが後回しになっていたのではないか。環境を十分整えないまま数を追求したひずみが表面化したといえる。

 「学部研究生」は日本語学校などを経て入学した留学生が中心という。大学に進めない卒業生らの受け皿として重宝されたが、当初から就労目的で入学し、不法残留となった例もあるとみられる。

 日本語学校には、教育の質に問題のある学校も混在しているのが実情という。

 文科省と入国管理庁は同様の問題の再発を防ぐため、留学生の在籍管理を徹底させる新たな制度を導入すると発表した。

 人手不足のためコンビニなどのアルバイトは留学生頼みだ。アジアの貧しい国からブローカーに費用を払って来日し、借金を背負っている留学生も多い。

 専門家は「留学というのはごまかしで、労働力としての外国人に期待している」と指摘する。留学生を巡る制度の、総合的な見直しが必要ではないか。

 外国人労働者の受け入れ拡大で、多文化共生が問われている。アルバイトの状況も含めて留学生が安心して学業に励める環境を整えるべきだ。