ストローが登場する思い出は、淡くて甘い。幼い日のお出掛け、デート、子育ての日々…。だがストローが置かれた状況は甘くない。「脱プラスチック」が世の流れ▼石油を原料とするプラスチックの大量使用が、海洋汚染や地球温暖化を進めている。少しでも食い止めようと転換が広がる。飲食店でドリンクを注文すると「ストローはどうします?」と問われることも。要らなければ断れる。紙製を扱う店も増えた▼竹ストローを使うカフェが木津川市にある。竹林整備に携わるNPO法人加茂女(かもめ)の運営。紙製を用いていたが代表理事の曽我千代子さん(70)が竹の利用を思い立った。「紙も使い捨てになる。竹なら、ふやけずゆっくり味わえる」▼メンバーが自宅で採った直径7ミリ前後の細い竹を乾燥させて節を取り形を整える。滑らかで硬い質感が唇に新鮮で心地よい▼加茂女は竹を食器や遊具、炭やチップに加工し、タケノコの食品開発に挑む。放置されがちな竹林を価値を生み出すものに替えるのが目標だ▼曽我さんが小学生の頃、ストローと言えば麦わら製だった。石油の便利さに頼り切る社会だが少しずつ手間を重ねて自然素材に戻したいという。「みんなで押さないと扉は開かない」。一押し一押し、私たちもできる範囲でその扉に手を添えたい。