【資料写真】琵琶湖

【資料写真】琵琶湖

 稲作を中心に広く普及している細かい粒状の「被覆肥料」を巡り、滋賀県が対応に苦慮している。県は琵琶湖の水質保全につながるとして推奨してきたが、一粒一粒がプラスチックの「殻」で覆われており、世界的なプラごみ削減の動きを背景に国が殻の流出防止の徹底を都道府県に通知したためだ。琵琶湖の生態系に悪影響を与えないよう、県は農業団体とも連携して県内農家への周知を図る。

 被覆肥料は一粒の直径が5ミリ以下。殻に覆われた複数の肥料成分が作物の成長に応じて徐々に溶け出す特徴があり、吸収効率が良い分、肥料の量を抑えられる。何度かに分けて散布する手間がかからず、作業の省力化にも役立つとされる。
 農林水産省は6月、使用済みの肥料殻の流出防止対策を打ち出し、農家に適切な処理を指導するよう都道府県に通知した。民間団体や大学の調査では、河川や海岸に肥料殻とみられるプラごみが漂着しているとの報告があり、海洋汚染防止に向けて脱プラの機運が高まる中、対策が急務と判断。他の肥料への切り替えを検討することも通知に盛り込んだ。
 一方、琵琶湖を抱える県は水質などに配慮し、化学肥料の使用量を半分以下に抑えた「環境こだわり農業」に力を入れている。その要となる被覆肥料は琵琶湖の富栄養化を招く窒素の抑制効果も期待できるとして長年推奨しており、補助金を出している。
 県によると、肥料殻に関する調査はこれまで実施しておらず、ごみとしての実態は不明という。ただ、畑や果樹園に比べ、水田では田植えの度に土中に残留している殻が掘り起こされ、水路を通じて琵琶湖に流れ出る恐れがある。県が赤野井湾(守山市)で6月に行った初の湖底調査では、回収したごみ322キロの約6割をプラごみが占め、肥料の包装袋など農業用資材も含まれていた。
 県はJAグループと連携して今後、被覆肥料を使う農家に流出防止を呼び掛ける。土壌と混ぜる際の水量を減らしたり、田植え前の排水を控えたりして水田の水管理を徹底する。「既に取り組んでいる農家も少なくないが、これまで啓発ができていなかったので改めて協力を求めたい」(食のブランド推進課)としている。