一軒家やマンションから、外国人観光客とみられる人たちが現れる光景も、見慣れたものとなってきたのではないか。

 一般の住宅に旅行者らを有料で泊めることを認める住宅宿泊事業法(民泊法)の施行から、1年が経過した。

 今月7日時点で観光庁がまとめたところによると、民泊の営業届け出は全国で1万7301件もあり、当初の8倍に増えた。

 旅行者らのニーズが、確実にあるということだ。政府の唱える観光立国にもつながる。複数の人々で物件を利用するシェア経済の一つとして、存在感は高まる一方である。

 届け出数の内訳を都道府県別にみると、東京が5879件、大阪が2789件で、合計すると全体の半数を占めている。

 投資をしても採算の取れる都市部に、民泊用の施設が集中しているのは明らかだ。民泊の増加による恩恵を、それ以外の地域も受けられるような取り組みが、あってもよい。

 ここまで増えると心配なのは、地域住民の生活や既存の宿泊施設に及ぼす影響である。

 民泊法は、営業日数を年間180日までに制限している。自治体によっては、日数をさらに減らしたり、営業できる地域を限定したりしている。

 こうした規制もあって、届け出数の6%に当たる約千件が、すでに廃業している。旅館業法に基づく簡易宿所など、ほかの業態に転換したところもありそうだ。

 淘汰(とうた)によって、営業の質が向上する面もある。今後も、適切な規制は必要とされよう。

 法施行に伴い、住民が最も懸念する無届けの違法民泊を排除できるようにもなった。

 京滋で、民泊が集中する京都市では、法施行時に違法民泊が2千件あるとみられていたが、市に専門チームを設けて監視と指導を強化した結果、「28件に減らした」という。

 市内の民泊555件のうち、家主が不在なのは約8割に達している。これには、施設から800メートル圏内に管理人を駐在させることを条例で義務づけ、周辺の住環境に問題がないよう配慮している。

 だが、会員制交流サイト(SNS)などを用いて直接、集客する業者もおり、違法民泊の根絶は難しいともいわれる。

 業界などからは規制緩和を求める声も上がっているが、当面は監視や指導を続けるべきだ。