きのうから「犯罪被害者週間」が始まった(12月1日まで)。被害者が置かれた状況に即した支援とは何かを考え、支援の施策をよりよいものにしていく機会ととらえたい。

 36人が死亡、33人が重軽傷を負った京都アニメーション放火殺人事件から4カ月余り。警察や自治体、弁護士会などで被害者支援が展開されている。

 京都犯罪被害者支援センターは、遺族や負傷者家族の相談や情報提供に当たった。その中で、冨名腰由美子事務局長は「被害者の状況はさまざまで、支援は多岐にわたる」と気づいたという。

 被害者の心の支援だけにとどまらない。実は、被害直後では当座の生活資金や家事サポートが隠れたニーズだ。突然、家庭や日常が破壊されたダメージは大きいが、周囲からは見えにくい。

 当面の生活資金や見舞金は、京都、滋賀の自治体では被害者支援条例で支給されるが、こうした支援条例があるのは、日本弁護士連合によると、全国市町村の3割程度にすぎない。「同じ被害者なのに居住地によって差が出るのはおかしい」と冨名腰事務局長が指摘するのは当然だ。

 家事支援も既存の福祉施策で対応する自治体が多いが、手続きなどで手間や時間がかかると知り、あきらめる被害者もいるという。簡便、迅速な被害者対応はできないのだろうか。

 犯罪被害者等基本法ができて15年になるが、被害者本位の支援の仕組みは整ったとは言えない。

 先月、大阪市であった少年犯罪被害当事者の会の集いで、武るり子代表は「国が賠償金を立て替えてほしい」と訴えた。被害者支援の一環で刑事裁判でも損害賠償命令が出せるようになった。しかし、加害者からの支払いは会の被害者の中ではまれで、それを国は放置しているというのだ。

 兵庫県明石市は賠償金の立て替え制度を設け、さらに取り立てを代行する条例改正も検討している。スウェーデンやノルウェーでは、国が賠償金を立て替えている。

 来年度に見直される第3次犯罪被害者等基本計画には、重点課題の一つとして、加害者賠償の調査が挙げられている。被害者が賠償金を受けられない実態をみるならば、国は立て替えを検討すべきではないか。

 被害者への支援は中長期にわたる。被害者の実情から課題を見つけ、支援の仕組みを点検、改善していくことが欠かせまい。