宇治市が未納業者に郵送している「催告書」

宇治市が未納業者に郵送している「催告書」

 京都府宇治市発注の公共工事に絡む過去の談合事件で、10年以上前に民事訴訟で複数の業者が市に損害賠償金を払うよう命じられたにもかかわらず、市の未回収額が遅延損害金を含めて概算で計約4億円に上っていることが20日、京都新聞社の取材で分かった。うち時効を迎えるなどして焦げ付く可能性が生じた債権が約1億円以上になる。市は法的手段に訴えるなどの積極的な回収行為をしておらず、専門家は「行政の不作為で、ずさんな債権管理だ」と問題視している。

 訴訟となった談合は2種類あり、一つは高額工事を請け負えた「Aランク」の業者が1995~99年度に市発注の河川改良工事などで繰り返した事案。もう一つは「Bランク」の業者が、95~97年度に行っていた。

 当時の市議や市民らが住民訴訟として提訴。2007年に最高裁などで、Aランクの14社が連帯して計約3億1400万円を、Bランクの66業者がそれぞれの割合に応じて計約1億5100万円を市へ支払うよう命じる判決が確定した。市によると、今年5月末現在で支払いがあったのは計約3億500万円。

市の資料によると、Aランクは約1億700万円の未払いがあり、利息に当たる遅延損害金を合わせた未回収残高は約2億6900万円に上る。中には破産した会社もあるが、連帯債務なので存続する社が残りを支払う義務がある。

 Bランクは66業者のうち40業者が完済し、24業者はこれまで全く支払いがない。遅延損害金を含めた未回収残高は約1億3700万円となる。18業者の約8300万円分が10年の時効を迎えている可能性があり、市によると、破産や解散で少なくとも5業者の約2300万円分が回収不能とみられるという。

 市の説明では債権回収の手段としては、支払いを促す「催告書」を年1回郵送するのみという。市契約課は「分割納付をするなど今でも支払いをしている業者はある」とする一方、これまでの姿勢については「強く請求していたとは言えない」と認める。回収の方法については「どういう形がいいのか探っていく。具体策は考えていない」とした。

 全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は「住民訴訟の結果を受けて速やかに回収すべきなのに、行政の怠慢で時効が発生したとすれば大きな問題だ。適切に債権を管理しなければならない市長に対して、損害賠償義務が発生する余地もある」と指摘する。