体罰に頼らない子育てのあり方を社会全体で探らねばならない。

 親による子どもへの体罰を禁止し、児童相談所の体制を強化する内容の改正法が成立した。

 相次ぐ悲惨な虐待事件を受けた法改正だ。罰則はないが、体罰は許されないことを明確にした意味は大きい。家庭も含め、子どもへの関わり方が問い直されよう。

 改正法では、虐待の理由を「しつけ」だとする事例が多いことをふまえ、親や児童福祉施設長などによる体罰禁止を明文化した。

 禁止規定は、虐待が疑われながら親が児相などの関与を拒否する家庭に対しても、積極的に関わることができる根拠になり得る。

 一方、子どもへの対応に戸惑う人も少なくなかろう。日本は体罰に寛容とされ、しつけのための体罰を容認する人が多いとする民間の調査結果もある。

 しかし、体罰を受けた人は感情や思考をコントロールする脳の一部が萎縮し、学習意欲の低下や心の病を発症しやすい傾向があるなどの研究結果も知られている。

 民法は、親権者に必要な範囲で子どもを戒める懲戒権を認めている。改正法では、施行後2年以内に削除も含めて検討するとしており、法制審議会に委ねられた。なくす方向での議論を望みたい。

 子育てに悩む親は多い。苦悩が虐待につながらないよう、政府は相談などのサポート体制を充実させ、体罰を伴わずに子どもと向き合える環境を整えてほしい。

 改正法では児相の体制整備の充実も図った。一時保護などの「介入」を担当する職員と、保護者の相談など「支援」を担当する職員を分け、ためらわずに保護に踏み切ることができるようにした。

 ただ、介入と支援が分離されると、虐待事例を引き継ぐタイミングが難しくなるなどの懸念も現場にはあるようだ。情報共有を十分にし、漏れのない対応が必要だ。

 全国の児相が対応する虐待件数は年々増加しており、2017年度は13万件を超えた。だが、専門職の増員は追いついていない。

 今月上旬に札幌市で発覚した女児衰弱死事件では、虐待通告後の児相の対応が大幅に遅れていたことが明らかになった。児相は認識の甘さを認めながらも、人手不足の現状にも言及している。

 政府は22年度までに児童福祉司を2千人増員する計画だが、一人前になるには時間がかかる。数々の事件の教訓をふまえ、増加する相談にどう対応するか。現実に即した支援策が必要だ。