滋賀県が、林業を担う専門性の高い人材を育成する機関「滋賀もりづくりアカデミー」を設けた。

 森の荒廃や林業の担い手不足が指摘されるようになって久しく、各地の自治体は林業大学校などの教育・研修機関を設けている。

 森林の維持は地域振興とも密接にかかわる。滋賀のアカデミーは後発だが、地域で活躍する人材をしっかり育成できるよう、内容に工夫を凝らしてほしい。

 アカデミーは3コースあり、本年度は市町職員向けと森林組合などの作業員向けの2コース、来年度には伐採作業の初歩から学ぶ新規就業者コースをつくる。

 市町の林業専門職員の養成は急務だ。4月に施行された森林経営管理法は、木材の伐採や造林を森林所有者の責務とし、所有者不明の森林も手続きを経て市町村が管理権を取得することを認めた。

 高齢化や後継者不足で手入れできなくなった民有人工林のうち、林業として採算がとれるものは林業事業者、林業に適さない森林は市町村が管理することも求めている。知識なしでは、山林の実態調査も採算の判断も進まない。

 作業員も新たなノウハウの取得が必要だ。県内の林業従事者は1960年度のピーク時は4826人いたが、2017年度は259人にまで減っている。

 一方で、高度経済成長期に植えた人工林が伐期を迎えており、近年は木材生産量が増加している。

 県は、効率の良い伐採法や作業道の作り方を習得することで、作業員1人当たりの木材生産量を1日3立方メートルから6立方メートルに倍増させる計画だ。

 ただ、「もりづくり」の看板を掲げながら、内容が新法への対応と生産性向上だけでは物足りないのではないか。森林の役割は木材生産だけではない。

 来年度に始める新規就業者コースは、既存の林業大学校との違いを打ち出すため、他業種からの転職者を対象に考えているという。林業や山村の暮らしに魅力を感じている人たちに山仕事を体験してもらい、新規就業や山村定住につなげる狙いがある。

 山村振興に取り組む県内の団体とも連携し、それぞれの地域の特性を生かした滋賀の森づくりを進めてほしい。

 林業経営だけでなく自給自足的な山の暮らしに適した山林や、環境学習に適した山林もあるだろう。林業が持つ多面的な価値を見据え、魅力ある森づくりを実現できる人材を育てることが重要だ。