大阪・吹田市の交番で巡査が包丁で刺され拳銃が奪われた事件の衝撃は大きく、交番の安全に目が向けられている。

 昨年、富山市と仙台市の交番で警察官が刺殺、拳銃が強奪される事件が相次ぎ、富山では奪われた拳銃で警備員が殺害された。

 拳銃を奪うのに交番の警察官が狙われており、危機感を募らせた声が上がっている。警察OBからは繁華街を除いて交番の24時間態勢をやめる案も出ている。

 交番は地域の安全安心に欠かせない。その交番が狙われたのだから、地域住民の不安は大きい。

 交番のあり方が問われる事態だ。安全策にとどまらない議論が必要だが、その際には警察だけでなく、ぜひ住民を交えてほしい。

 警察白書によると、昨年4月現在で全国に交番は6260カ所、駐在所は6329カ所ある。住民に近く、地域の要望を受けて開所した交番も少なくない。

 事件や事故への即応だけでなく、ふだんのパトロールや各戸への巡回連絡で、街の防犯に目を配り、住民の声を聞いている。

 近くの交番だからこそ、子どもたちは落とし物を届けに行き、人が立ち寄って道を尋ねる。警察署とは違った役割を担い、何よりも住民に親しまれている。

 警察活動の機動性が高まり、人員の機能的な集中配置が求められていよう。しかし、住民からは、例えば警察官の不在が長い「空き交番」は困る、との声が出る。

 親しまれる観点からいえば、交番の警察官に拳銃は必要なのかどうか。交番の拳銃が狙われているのなら、なおさら議論があっていいだろう。

 実際に英国やアイルランド、ニュージーランドなどでは、警察官は基本的にパトロールで銃を携行しないそうだ。日本は銃社会ではなく、暴力団の間で発砲事件が起きる程度だ。事件には警察署の捜査員が拳銃携行で出動している。

 もちろん、拳銃所持による犯罪抑止力や、拳銃を持たない時の防御策について検討する必要がある。

警棒による逮捕術の向上や、拳銃に代わるスタンガンの使用など、打てる手を考えないといけない。

 昨年4月、彦根署の交番で19歳の巡査が上司を射殺した事件で、未成年警察官の拳銃所持が問題になった。課題は多いが、拳銃の携行や保管について、一から見直すべき時ではないだろうか。

 地域の交番には、拳銃より、親しまれることで、安全安心のよりどころであり続けてほしい。