中国当局による少数民族ウイグル族への人権弾圧を示す内部文書が明らかになった。

 人工知能(AI)など最新技術を使ってウイグル族への大規模な監視を行い、恣意(しい)的な拘束や施設への大量収容をして「職業訓練」の名目で思想教育を行っていた。

 中国政府の甚だしい人権侵害を裏付ける内容であり、国際的な非難の声が高まるのは必至だろう。

 文書は共同通信など各国メディアが参加する国際調査報道ジャーナリスト連合が入手、新疆ウイグル自治区の内部文書だった。

 ウイグル族を監視する大規模システム「一体化統合作戦プラットフォーム」(IJOP)運用の指示が記されていた。監視カメラや通信傍受で集めた個人情報を解析し、AIによる顔認証やビッグデータを駆使して潜在的「危険分子」を自動的に割り出すという。

 2017年6月の文書は、1週間に約2万4千人の「疑わしい」人物を特定し、当局に通知したと記載。うち約700人を拘束し、約1万5千人を教育訓練のため収容所に送ったとしている。

 国際人権団体の分析によると、IJOPは36種類の行動を「要注意」に分類し、ウイグル族の多くが信仰するイスラム教の「礼拝所建設の資金を募った」や「電力を大量に消費した」なども警戒対象とされる。著しく人権を無視した監視態勢といわざるをえない。

 当局が「職業教育訓練センター」と称する施設は自治区に数十カ所、収容規模は100万人以上とされる。文書には、収容者のトイレ、入浴中も監視の目を光らせ、ウイグル語でなく中国語を使わせて民族文化を事実上捨てさせる運営指針も詳述されていた。

 中国政府は施設の存在を当初は否定し、後に「テロ防止に必要な措置」と説明してきた。だが、恣意的な理由で収容し、心身の自由を奪う具体的手法の判明は、その主張を突き崩すものといえよう。

 各国からの批判を中国側は外交、経済力ではねつけてきたが、米国は先月、大規模監視に関与したとして中国企業28社などへの禁輸措置を決めた。抑圧強化を追い風に急成長した監視カメラ大手も含まれる。日本メーカーの部品供給先であり、無関係ではない。

 日本政府は、習近平中国国家主席の来日実現で関係改善の加速を目指す一方、香港を含め深刻な人権問題を見過ごし、物申せないのでは善隣外交といえまい。国際社会とともに実態究明を求め、弾圧をやめるよう働きかけるべきだ。