いつの間に、10兆円規模という話になったのだろう。

 政府が来月上旬に取りまとめる経済対策の概要が、明らかになってきた。

 本年度の補正予算と来年度の当初予算を一体的に編成し、3年ぶりに経済対策を打ち出そうとしている。与党内から、補正予算の規模については10兆円程度を、との声が聞こえるという。

 対策の必要性、緊急性などを考慮することなしに、巨大な金額だけが独り歩きしているのなら、問題がありそうだ。

 経済対策の実施そのものは、既定路線だったとされている。

 10月の消費税率引き上げ後、需要の落ち込みを抑制するのが目的である。

 米中貿易摩擦の影響で、企業業績の動向が不透明になってきたことも実施を後押しする。

 日銀の金融緩和策は、副作用の心配があるマイナス金利にまで踏み込んでおり、限界に近い。すると、残る手だては財政出動しかなかろう。

 政府の対応として、やむを得ない側面もあるといえる。

 安倍晋三首相が、関係閣僚に策定を指示したのは、今月上旬である。海外経済の下振れリスクに備えて景気を下支えするとともに、台風19号など相次ぐ自然災害からの復旧、復興に取り組む方針を明らかにした。

 この際、対策の規模は、国費の総額で数兆円になる見通しだったとされる。

 ところが、その後、台風の被災地の復旧を急ぐだけでなく、河川や堤防の改修、雨水の貯留槽整備など、施設の改良や設置を促進することになってきた。

 災害関連以外では、日米貿易協定の発効に備えた農家の支援、自動ブレーキなどの機能を持っている「安全運転サポート車(サポカー)」の普及、小学5年生から中学3年生までパソコンを1人1台使えるようにする学校の情報通信技術化、といった項目が挙がっている。

 少なくとも3兆円の財政投融資を活用して、成田空港の新滑走路や鉄道新線「なにわ筋線」など、インフラを整備することも、含まれるようだ。

 経済対策の適用される範囲が野放図に広がり、規模が肥大化している。これは、政府として、具体的な経済リスクを見通せていないからではないか。

 事業の羅列ではなく、実効ある方向に、対策全体を導いてもらいたい。