開発した装置でマイクロプラスチックの調査を進める小嶌社長

開発した装置でマイクロプラスチックの調査を進める小嶌社長

調査で確認された人工芝の破片=ピリカ提供

調査で確認された人工芝の破片=ピリカ提供

 陸から海に流れ出すプラスチックごみの実態解明に向け、京都大発のベンチャー企業「ピリカ」(東京都渋谷区)が河川など内水面に浮遊しているマイクロプラスチックの調査手法を開発した。海に漂うプラごみの7割程度は陸から流れ込んでいるとされるが、その実態解明は進んでいない。大阪市で28日に始まる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で海洋プラごみ対策が主要議題となる中、同社の技術に注目が集まっている。

 同社が開発したマイクロプラスチックの調査装置は、水を吸い込むスクリューの後ろに編み目0・3ミリの筒状のネットを取り付け、微細なプラスチック片を集める仕組み。水の流れがない池や地下水路などでも浮遊微細物が回収できるのが特徴で、装置はプラごみの誤飲で被害を受けているアホウドリの英名から「アルバトロス」と名付けた。

 調査部門の一般社団法人を立ち上げ、昨年5~9月に同装置を使って東京都の隅田川や東京湾、大阪府の道頓堀川、米国・ニューヨーク市のハドソン川など国内外38地点でプラスチック片を回収。プラスチック成形業者の協力も得て、成分や色合いなどからプラごみの特定を進めた。

 その結果、「大きく分けて、元から小さかったプラスチック製品と、捨てられた後で粉々になった物の2種類があった」(小嶌不二夫社長)という。中が空洞だった直径約5ミリの球形物は元から小さかったごみの一例で、農業用肥料のカプセルと判明。農地にまくと割れて中身の肥料が出る仕組みで、現在も市販されている。

 一方、後で粉々になったごみでは長さ5~6ミリほどの緑色の破片が多数見つかった。成分から、フットサルコートなどで使われる人工芝の一部と分かった。そのほか、特定はできなかったがラップやレジ袋、釣り糸と思われるマイクロプラスチックもあった。

 今年4月からは、大手飲料メーカーと日本財団が進める共同調査にもピリカの技術が採用され、富山県や岡山県などにも対象を広げてプラごみの流出状況を調べている。結果は年内にまとめ、政策提言にも活用される。

 小嶌社長は「私たちの目的はプラスチックを全面規制するのではなく、プラごみのない社会を目指すこと。プラごみがもともとはどんな製品で、どんな経路でごみとなっているかを解明することにより、メーカーや使う側を含めた社会全体でごみ問題の解決策が出せるようにしたい」と話している。