村田製作所が量産する全固体電池。業界最高水準の容量を持つ

村田製作所が量産する全固体電池。業界最高水準の容量を持つ

 安全性や性能に優れた次世代型の蓄電池の開発を、京都の大手メーカーが活発化させている。村田製作所は26日、小型の「全固体電池」を開発し、2020年度に量産を始めると発表。三洋化成工業も開発中の「全樹脂電池」の実用化試験を10月に始める方針だ。蓄電池需要が拡大を続ける中、各社は有力な成長事業と見込んで開発や生産の投資を加速する。

 村田製は、角砂糖より一回り小さいサイズの全固体電池を独自開発し、野洲事業所(滋賀県野洲市)で20年度内に月10万個の量産に乗り出す。ワイヤレスイヤホンなど身に付けて使うウエアラブル端末向けで、IoT(モノのインターネット)化で広がる蓄電池のニーズに対応する。

 同社によると、電解液を使うリチウムイオン電池(LiB)に比べ、全固体電池は燃えにくく、安全性が高いという。ためられる電気の容量は2~25ミリアンペアと、これまでに公表された全固体電池の性能に比べて100倍程度に高めた。今後さらに容量を引き上げ、「将来的にLiBの置き換え需要も取り込みたい」(広報部)という。

 樹脂を用いるのが、三洋化成などが開発中の全樹脂電池だ。安全で製造コストを大幅に抑えられるのが特徴で、20年中の製品化を目指す。

 同社の安藤孝夫社長は26日、京都新聞の取材に対し、「今秋の試験がうまくいけば生産工場を新設する。設備投資は当初100億円程度で、21年に稼働したい」と説明。13万平方メートルの事業用地の選定を進めていることを明らかにした。開発生産体制も近く100人規模に倍増する予定で、事業化を加速する。

 京セラも新型電池の開発に動く。新たな製法で原材料費を大幅に低減できる次世代型LiBの試作ラインを、年内にも大阪府内の拠点に設ける。太陽光発電の固定価格買い取り制度(FIT)が11月から順次終了するのを機に、電気をためて自家消費する家庭や企業が増えるとみて、定置型の用途を念頭に実用化を急ぐ。

 調査会社の富士経済(東京)は、LiBの22年の世界市場を17年比2・3倍の7兆3900億円と試算する。全固体電池は20年代に電気自動車への搭載が始まるとみられ、35年に市場規模が2兆7800億円に急拡大すると予想する。

 蓄電池大手のGSユアサは、ハイブリッド車など電動車の世界的な需要拡大を見込み、21年度までの3年間に投じる設備投資額のうち50%超の480億円を自動車用LiBに充てる。LiB需要の拡大が続く中、全固体型など新型電池の基礎研究も進めており、研究開発費には3年間で350億円を投じる計画だ。