「不安があったときに守山で踏ん張ることができ、小説も落ち着いて書けるようになった」と振り返る今村翔吾さん(守山市守山5丁目、市立図書館)

「不安があったときに守山で踏ん張ることができ、小説も落ち着いて書けるようになった」と振り返る今村翔吾さん(守山市守山5丁目、市立図書館)

 昨年の直木賞候補にもなった大津市在住の人気作家今村翔吾さん(35)の講演会「人はなぜ歴史に惹(ひ)かれるのか」がこのほど滋賀県守山市立図書館で行われた。同市で働きながら作家デビューを果たした今村さんは、湖国への愛着を吐露しつつ、歴史の持つ魅力を語った。

 今村さんは木津川市出身。ダンスインストラクターや守山市埋蔵文化財調査員を経て、2017年「火喰鳥 羽州ぼろ鳶(とび)組」でデビュー。18年「童の神」が直木賞候補になった。
 歴史が好きになった理由を今村さんは「父が歴史好きで、桃太郎の話の代わりに『昔、真田幸村は…』と話すような人だった」と紹介。あまり本は読まなかったが、小学5年で池波正太郎「真田太平記」全巻を読破し、一気に歴史時代小説にハマったと振り返った。
 滋賀でダンスを教えながらも、子どもたちには「将来は作家になる」と話していた。ある日トラブルを起こした少女に「頑張れば夢はかなう」と声を掛けると、「翔吾君も夢あきらめてるやん」と言われた。心を見透かされていたことに衝撃を受け、一念発起して作家になろうと講師を辞めた、と明かした。
 歴史に惹かれる理由について「歴史上の人物の歩みを見ると、人生の道しるべになる。こんな風に生きたい、こんなことをしてはだめだな、とか教訓が詰まっている」と強調。さらに「僕は、学問とは違うかたちでフィクションも織り交ぜて、時に現代的な感覚も交えながら、皆さんが歴史好きになる入り口となるものを書きたい」と語った。
 その上で、滋賀は石積みの穴太衆や国友の鉄砲など題材となる魅力にあふれていると語り、守山での発掘の仕事の経験も執筆に生かしていると紹介。「今後も滋賀の歴史をいっぱい書いていきます」と熱っぽく話した。