「病気への葛藤を含めて自分を表現したい」と話す藤井さん(京都市中京区・京都芸術センター)

「病気への葛藤を含めて自分を表現したい」と話す藤井さん(京都市中京区・京都芸術センター)

 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の男性(78)が、ダンスパフォーマンス「えんじょいデス」を29日、京都市中京区の京都芸術センターで行う。今年2月に病気が判明し、一時は自死も考えるほど落ち込んだが、旧知のダンス仲間に励まされ、気力を取り戻した。男性は「葛藤も含めて自分をさらけ出したい」と話している。

 中京区の藤井幹明さん。同センターの設立当初からボランティアを務めていた縁でダンスと出会った。体で表現する楽しさを知り、2008年にサークルを作った。同時期に、65歳で自死した哲学者の著書に出会い、自死や安楽死など自ら死を選択する自由は許されるのか、と考えるようになった。

 答えを探しあぐねていたころ、ろれつが回りにくい症状が出始め、受診すると病気が分かった。全身の筋肉が少しずつ動かなくなり、やがて死に至る病。藤井さんは「進行具合は人によって違うと医師に言われ、どう衰えていくか予測できないのは地獄だと思った」と明かす。

 体が動かなくなり、家族や周囲に迷惑をかけるくらいなら自死を選びたい-。そんな考えにとらわれ続けていた4月ごろ、サークル仲間から舞台を提案された。「生と死の間で葛藤する感情も含めて、表現者として立ってほしい」と励まされたという。

 藤井さんは、ブログを立ち上げ、病気に対する思いをつづり始めている。天命だと受け止めたり、絶望したり、気持ちは揺れ動く。声が出しづらく、鉛筆も握りにくくなってきた今、本番を迎える。「自分の現状を伝えることが社会の役に立つなら、生きる意味になるかもしれない。舞台では自分の声と体で伝えたい」と語った。

 午後2時から、無料。問い合わせは同センター075(213)1000。