20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が、大阪市で開幕した。

 初の日本開催で、議長を務める安倍晋三首相は、全体会議と併せて参加各国の首脳と次々に個別会談を繰り広げている。

 議長国の立場を生かし、世界の経済、環境問題など重要課題で意見の取りまとめを担うと同時に、それぞれ懸案を抱える国々との2国間関係でも前進を目指す考えだ。

 最大の鍵として開幕に先立ち、貿易摩擦が激化している米国のトランプ大統領、中国の習近平国家出席と会談した。

 ともに貿易政策への国際批判を避けたい米中の思惑も手伝い、安倍氏は双方と良好な関係を演出してみせたが、両国の利害調整には踏み込めなかった。米中の間で立ち位置の難しさが改めて浮き彫りになったといえる。

 トランプ氏とは4月から3カ月連続の会談となった。その「蜜月」関係こそ安倍氏が国際社会で存在感を示せる強みであり、今回も「日米同盟の協力を深化、拡大する」としてイラン、北朝鮮への対応で連携を確認した。

 ただ、トランプ氏は対日貿易赤字を問題視し、貿易交渉の加速を求めた。安倍氏は「世界経済の持続的成長」を掲げて保護主義に懸念を示したが、来日前に日米安全保障条約が片務的とまで述べ、負担増を迫るトランプ氏の圧力回避が精いっぱいだったようだ。

 一方、習氏は就任7年目で初の来日で、会談で安倍氏は「正常な軌道に戻った」と関係修復をアピール。来春の国賓としての来日要請に習氏も応じる考えを示した。

 習氏は、直前の北朝鮮訪問で、金正恩朝鮮労働党委員長に日本の立場を伝えたとし、日朝の直接対話を目指す安倍氏を支援する姿勢を示した。日米の同盟関係にくさびを打ち込む作戦といえる。

 安倍氏は、中国による尖閣諸島周辺の領海侵入や国営企業への過剰補助金に対する批判は控えめにした。急接近してきた中国との関係改善で外交得点を稼ぐ狙いがうかがえる。

 成果にこだわるのは、他の外交交渉が手詰まりのためだ。ロシアとの北方領土交渉は事務協議が進まず、29日のプーチン大統領との会談では共同声明を見送る方向だ。元徴用工問題を巡って冷え込む日韓関係では、文在寅大統領との正式会談にめどが立っていない。

 米中との首脳会談で安倍氏は守りの姿勢が目立ち、仲介役を果たしているとは言い難い。安倍外交は正念場が続いている。