トランプ米大統領が20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)閉幕後の記者会見で、日米安全保障条約について「不公平な合意だ」と述べた。

 日本の防衛義務を負う米国の負担が一方的だとして、安倍晋三首相に「変えなければならないと伝えた」という。

 日米安保条約は日米関係の基軸である。アジア太平洋地域における米国の存在感を示す役割も持つ。

 米大統領が疑念を示すのは極めて異例だ。背景には安保面で圧力をかけ、日本をはじめとした同盟国との通商交渉で揺さぶりをかける狙いがあるのだろう。

 2020年大統領選に向けて、国内支持層を意識した発言とみられる。在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)で貢献拡大を迫ってくる可能性もある。

 日本政府は真意を見極め、慎重に対応すべきだ。

 安保条約は米国に日本防衛義務を課す一方で、日本は国内で基地を提供すると定めている。第5条で日本の施政下における武力攻撃に日米が共同で対処すると規定。第6条で米軍に日本での施設利用を認めている。

 一方、米国が攻撃を受けた場合の日本の防衛義務は書かれていない。それがトランプ氏には「片務的」と映るようだ。

 米軍横須賀基地、米軍嘉手納基地は世界に展開する米軍の戦略を支える一大拠点である。いずれかの国だけが利益を受ける枠組みではないという、日本政府の立場は理解できる。

 9月を念頭に置く日米貿易交渉の大枠決着に向けて火種を抱え込んだ形だが、安保を盾に貿易面で譲歩を迫られた韓国の二の舞は避けなくてはならない。

 米側の恩恵の大きさを説明し、毅然(きぜん)とした姿勢で臨むべきだ。

 気になるのは、安倍首相がトランプ氏と会談やゴルフを重ねて親密な関係を築いてきたのに、こうした発言が飛び出すことだ。

 トランプ氏の予測不能な言動のリスクを、改めて示したといえる。「親密さ」の中身を検証し、外交戦略を練り直す必要はないか。

 安倍首相は14年、憲法解釈を変更し、歴代政権が禁じてきた集団的自衛権行使を限定的に容認。米艦防護など自衛隊の活動範囲を拡大させた。

 だが国内世論では、米軍との一体化が進むことへの反対が根強い。トランプ氏の要求とは別に、望ましい同盟関係の在り方について議論を深める必要がある。