ロシアの組織的ドーピングに絡む検査データ改ざん問題で、世界反ドーピング機関(WADA)は、同国を五輪や各競技の世界選手権などの主要大会から4年間除外する処分案を発表した。

 12月9日の常任理事会で承認されれば、ロシアは来年の東京五輪・パラリンピックに国として出場することが難しくなる。選手が個人資格で参加できる道は残されるが、厳格な基準で潔白を証明しなければならない。

 処分案には、すでにロシアで行うことが決まっている主要競技大会の開催権はく奪や、2032年夏季五輪・パラリンピック招致活動の禁止なども含まれている。これまでにない厳しい内容である。

 ロシアを巡っては、14年に組織的なドーピングが発覚。15年にWADAが不正を認定し、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)は資格停止処分を受けていた。

 検査データの改ざんは、資格停止解除の条件としてRUSADAが今年1月に提供した保管資料の中にあった。

 ドーピング違反の疑いがある分析報告が、複数削除されていたといい、WADAのコンプライアンス(法令順守)審査委員会は「極めて深刻」な改ざんがあったと断定した。

 改ざんが事実であるならば、高い透明性が求められる反ドーピング機関が国ぐるみの不正に加担したと受け取れる重大な行為である。除外処分案は、ロシア側が自ら招いた当然の結果といえよう。

 問題が長引いている原因は、ドーピングに毅然(きぜん)と対処しなかった国際オリンピック委員会(IOC)にもあるのではないか。

 WADAは16年のリオデジャネイロ五輪でもロシアの除外に動いたが、IOCは出場可否の判断を各競技団体に委ねた。その結果、ロシア選手が多数参加し、「弱腰だ」との批判を招いた。

 各競技に有力な選手を抱えるロシアの不参加が大会運営のダメージになる、との判断が働いたのだろうが、大会ごとに繰り返されるドーピング違反とメダルはく奪は、五輪の価値そのものの低下につながりかねない。

 WADAは選手団除外を勧告することしかできなかった反省から、18年に規則を改正し、処分に強制力を持たせた。

 IOCがWADAの判断に従うのは当然だが、公正で公平なスポーツを守るために、自らも主体的にドーピング排除への役割を果たすべきだ。