キャッシュレス決済に対する反対の声明を発表する京都仏教会の有馬理事長(左、京都市上京区)

キャッシュレス決済に対する反対の声明を発表する京都仏教会の有馬理事長(左、京都市上京区)

 寺社の売店などで現金を使わないキャッシュレス決済が進む中、京都仏教会(京都市上京区)はこのほど、さい銭や布施といった宗教行為への導入に反対する声明を発表した。第三者による信者の個人情報の把握や課税対象化などに対する懸念を理由に挙げている。

 京都仏教会が布施や拝観のキャッシュレス化に反対する声明文を出した背景には、導入の範囲が際限なく広がることに対する強い危機感がある。宗教行為とは無関係の絵はがきや土産物などの販売は既に法人税法に基づく物品販売として課税対象になっているため導入に積極的な寺院は多い。全国で見ると宗教的行為であるはずのさい銭を電子マネーで納められる寺院も少しずつ出始めている。

 有馬頼底理事長によると、寺院では決済サービス事業者による営業活動が活発に行われているという。こうした状況への対応として、京都仏教会は昨秋から「宗教と社会研究実践センター」や宗派を超えた関係者らとの研究会を重ね、今春以降は理事会や評議員会でも検討を続けてきた。

 その結果、現在は非課税となっている布施や拝観料までキャッシュレス化になれば、将来的な課税の流れへとつながりかねないと判断した。さらに個人の信教に関わる情報が流出する恐れも拭いきれず、会見で佐分宗順常務理事は「個人の情報が企業に収集されることによって、集められたデータが不用意に利用される可能性は大いにあると危惧する」と説明した。

 声明の発表に伴い京都仏教会は既にキャッシュレス決済を導入している寺社には、お守りや破魔矢など信仰に基づく授与品で行わないよう呼び掛ける方針だ。ただ授与所などの現場では綿密な区別を行っていないところもあり、どこまで徹底できるかが課題になる。