境内の中央で着々と進む拝殿の復旧工事(京都市東山区・大将軍神社)

境内の中央で着々と進む拝殿の復旧工事(京都市東山区・大将軍神社)

 昨年の台風20号により境内中央にあった拝殿が全壊した京都市東山区の大将軍神社で、拝殿の復旧工事が始まった。神社は1昨年の台風でも境内にある荒熊稲荷社が倒壊。2年続けて深刻な台風被害に見舞われ、氏子らの失意は大きかった。だが、昨年中に稲荷社の再建を果たし、今秋には拝殿も復興する見通しになった。

 京都・滋賀の各地で最大瞬間風速の観測記録を更新し、深い爪痕を残した昨年8月の台風20号。大将軍神社は高さ約15メートルのモチノキが倒れ、拝殿を押しつぶした。約10日後の21号でも、平家物語に登場する鵺(ぬえ)退治の森の名残とされる樹齢800年のイチョウの大枝が落ちた。

 一昨年10月の台風では、摂社の荒熊稲荷社が根元から倒れたエノキの直撃を受け、倒壊している。昨年中の2度の台風被害は、稲荷社の再建にようやく見通しが立った直後の出来事だった。

 同神社は、平安京造営の際に大内裏の鎮護のためまつられた大将軍神社の一つとの由緒を持つ。相次ぐ災難に、約3年前に神社総代に就いた三芳徳光さん(53)は「自分が悪いからなのか?」と自身を責め、苦悩する。そんな折、知人の宮司から「天災を機に荒熊稲荷社は新しくなる。神様が拝殿もきれいにしてほしいと言っているのでは」などと言葉を掛けられ、励まされた。

 三芳さんが中心になり氏子や住民に募った寄付や保険金を基に、稲荷社は被災から1年2カ月を経た昨年12月、復旧を終えた。今は社のあざやかな朱色が境内に映える。

 拝殿の再建は八坂神社(東山区)の援助を受けることに。八坂神社の宮司や禰宜が大将軍神社の宮司を兼務し、さらに、大将軍神社の神輿(みこし)のかつぎ手が祇園祭の神輿の1基をかつぐ四若(しわか)神輿会員でもあるからだ。

 5月の例大祭が終わるのを待って先月に復旧工事がスタートした。旧社殿の部材も使い、秋には再建する。工事の進捗(しんちょく)や境内の四季を伝えるツイッターの発信も始めた。

 度重なる災難に遭いつつも、復興を信じ、乗り越えようとする固い決意。大将軍神社の例大祭は神輿を拝殿に飾るが、今年はそれがかなわなかった。来年の初夏には神輿が飾られた真新しい拝殿を眺めるのを、三芳さんは待ちわびている。