無限の宇宙へ

風神(全4面) 1963年 高知・竹林寺(前期展示)
雷神(全4面) 1963年 高知・竹林寺(後期展示)

 さく裂するクリエイションパワー。堂本印象の世界は日本画の地平を軽く超え、無限の宇宙を駆け巡る。高知県竹林寺から特別出品の襖(ふすま)絵「風神」「太平洋」などを見ていると、そんなイメージが湧いてくる。

瀬戸内海(全8面) 1963年 高知・竹林寺(前期展示)
太平洋(全8面) 1963年 高知・竹林寺(後期展示)

 堂本印象(1891~1975)は約60年の画業を通じ、新たな表現に挑戦し続けた。本展は初期作品から抽象表現に至るまで、帝展、日展への出品作を中心に展示する。

細川ガラシャ夫人(大阪玉造教会壁画下絵)
1962年 京都府立堂本印象美術館

 本当に全部同じ人が描いたの? と思わせる多彩さが印象の魅力かつ驚異だ。伝統の花鳥画に近代の明るさを重ねた「雪」、春景と少女を丁寧に描写した「春」など日本画らしい絵を描く一方で、きらびやかなゴシック風の祭壇画「細川ガラシャ夫人」を作る。パリのカフェのペン画は映画の一こまのようだし、「坂」はアンリ・ルソーのように寓話的だ。

春 1927年 京都府立堂本印象美術館

 60歳代で具象を離れ、抽象へ向かう。ピカソ風の表現は日本画の概念を超えていたが、伝統の墨守だけでは先細ると考え、前人未到の道を突き進んだ。

雪 1930年 京都府立堂本印象美術館

 大胆華麗な作品の裏で、制作姿勢は緻密だ。即興的に見える竹林寺襖絵もきちんと下絵を作り、構図を整理している。金と黒がはじける画面は、桃山絵画などに見る墨線や金箔(きんぱく)の伝統を踏まえたものだ。比類なき表現力を、正統の技術と日本画家たる自覚が支えた。

坂 1924年 京都府立堂本印象美術館

 竹林寺襖絵は前期(2月2日まで)と後期(2月4日から)に分けて展示。会期中、2021年実施予定の生誕130年企画展に向け、作品の人気投票も行う。

作品はすべて堂本印象筆



【会期】11月30日(土)~3月29日(日) 休館は月曜(祝休日は開館し、翌火曜休館)と年末年始(12月28日~1月4日)
【開館時間】午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)
【会場】京都府立堂本印象美術館(京都市北区平野上柳町)
【主催】京都府、府立堂本印象美術館、京都新聞
【入場料】一般510円(400円)、高大生400円(320円)、小中生200円(160円)※かっこ内は20人以上の団体。65歳以上の人(要証明)、障害者手帳提示の人と付き添い1人までは無料

■関連イベント
【講演会】(いずれも無料。入館券または65歳以上の証明が必要。午後2時開始。会場は美術館東隣の学校法人立命館 旧堂本印象邸。30人。当日午後1時から美術館ロビーで整理券を配布)
 1月26日:「感じるこころ-印象作品の心象と造形をめぐって」中尾泰斗・福岡女学院大講師
 3月8日:「竹林寺障壁画の史的位置―具象と抽象の狭間に」並木誠士・京都工芸繊維大大学院教授
【ギャラリートーク】12月14日、2月9日、3月1日。いずれも午後2時、2階展示室集合。30分程度。
【問い合わせ】府立堂本印象美術館075(463)0007