京都大人文科学研究所の創立90周年を記念した講演会(京都市左京区・京大芝蘭会館)

京都大人文科学研究所の創立90周年を記念した講演会(京都市左京区・京大芝蘭会館)

 桑原武夫や今西錦司らを輩出し、日本の人文学研究をけん引してきた京都大人文科学研究所(京都市左京区)の創立90周年を祝う記念行事が29日、左京区の京大芝蘭会館であった。同研究所ゆかりの研究者たちが「人文学の可能性―危機とその突破」と題して講演し、実学志向の強まりで人文学に厳しい目が注がれる状況に、人文研が果たすべき役割を語った。
 関係者ら約130人が参加した。岡村秀典所長はあいさつで、共同研究の形式をつくった戦後の人文研を振り返り、「新たな地平を開く気概は現在も脈々と受け継がれている。これからも人文学の面白さを分かち合い、さらなる発展へとつなげる」と述べた。
 講演会で、甲南大の井野瀬久美恵教授は「人文研と『評価』の間」と題し、人文学分野の成果を評価することの難しさを指摘した上で「評価を恐れず、人文学の可能性を独自に言語化するしかない」と呼び掛けた。人文研所長を務めた金文京・京大名誉教授は「生き残りという言葉がよく言われるが、気に入らない。つぶしてくれても構わないぐらいの気持ちで正しいと思う道を進んでほしい」と激励した。人文研の石井美保准教授は、短期的指標では計りがたい共同研究やフィールドワークの豊かさに触れ、「ともに生きる人文学へ」と語った。