製造業の根幹を支え、「産業のコメ」と呼ばれた半導体事業から撤退するという。日本のものづくりの将来に、不安を覚えずにはおれない。

 表明したのは、パナソニックである。

 長岡京市にある「パナソニックセミコンダクターソリューションズ」はじめ3社の全株式と、北陸地方にある工場などを、台湾のメーカーに売却する。

 売却額は約270億円で、来年6月の譲渡を予定する。随分、急な話だといえよう。

 先週、兵庫県姫路市での液晶パネル事業から、再来年をめどに撤退すると、明らかにしたばかりである。

 いずれも、「赤字事業の撲滅」の掛け声のもと、不採算部門の切り捨てを図ったとみられる。

 パナソニックの半導体事業は、デジタル家電への導入が広まった2003年度には、売上高が4800億円にも達した。

 ところが、昨年度は5分の1程度にまで減少した。決算では、営業赤字となっている。これでは、撤退するのもやむを得ない。

 背景には、海外勢との熾烈(しれつ)な価格競争がある。

 かつては、パナソニックなどの日本企業の半導体が、世界シェアの半分を占めたこともあったが、今では米国、韓国に大きく引き離されて、7%ほどしかない。

 生き残りを懸けて行われた他社の事業統合も、受け皿会社が経営破綻した。

 留意しておきたいのは、こうした流れが、半導体事業にとどまるものではないということだ。液晶パネル事業なども、同様の経緯をたどった。

 パナソニックは、一連の不採算部門の処理で、一時的には業績を改善できるかもしれない。だが、このまま何もしないでいると、事業の撤退を繰り返すことになりはしないか。

 この際、世界のニーズに合った分野に挑戦し、新しい製品を創造するよう、強く求めたい。

 長岡京市の会社を含む国内約2300人、海外約100人の雇用は、売却先の台湾メーカーに引き継がれるようだ。とはいえ、経済情勢によって、今後どうなるかは分からない。

 01年の日産車体京都工場(宇治市、京都府久御山町)の操業終了時は、府と地元自治体、関係各社が協議会を設けて、課題に対応した。地域は何をすべきか、考えておくことも大切だ。