再生の見込みがなくなり幹を伐採したヒマラヤスギの古木など。樹木が朽ちる過程を伝える(京都市左京区・府立植物園)

再生の見込みがなくなり幹を伐採したヒマラヤスギの古木など。樹木が朽ちる過程を伝える(京都市左京区・府立植物園)

 昨年、おととしの台風で甚大な被害が出た京都府立植物園(京都市左京区)は、災害の記憶を後世に伝える取り組みを進めている。伐採した幹や切り株を撤去せず、「生きた教材」として、あえてそのまま園内に置いておくことで、来園者に植物再生や朽ちる過程を知ってもらう目的もある。

 同園では2017年10月の台風21号、18年9月の台風21号により2年連続で園内各所のサクラやスギなど多くの樹木が暴風でなぎ倒された。枝が折れたり傾いたりした木もあり、今も園内に被害の爪痕が残る。

 中でも、1924年の開園当初から植えられている樹齢100年超のヒマラヤスギは同園を代表する大木だったが、大きな損傷を受けた。再生の見込みがなくなったヒマラヤスギもあり、直径約1メートルの幹を伐採した。伐採後の幹は切り株のそばに横たえて置き、別の場所で折れたトチュウの切り株も並べている。

 今年3月に「台風被災のヒマラヤスギ古木」と記した案内看板を現地に設置した。来園者からは「あわれな姿の木をいつまで置いておくのか」といった声もあったが、災害や植物の生命力を考える場所として活用することを決めた。

 同植物園の小川久雄樹木係長は「10年、100年単位で、傷ついた植物が自然の中でどのように再生、また朽ちていくかを見られる場所になれば」と話している。