名残の紅葉を訪ね、師走にかかる週末も国内外の大勢の人が京都観光を楽しんでいる。

 近年、旅行者が急増する陰で、混雑や騒音、ごみなど住民生活に好まざる影響を及ぼす「オーバーツーリズム」「観光公害」と呼ばれる副作用への懸念が強まっている。

 10月の20カ国・地域(G20)観光相会合も観光公害の克服を掲げ、京都市で今月12、13両日に開かれる国連観光・文化京都会議でも重要課題として議論される予定という。

 魅力を感じて訪れる人の増加は本来、住民にも誇らしいはずだが、「公害」とまで訴えざるをえない危機感が世界各地で顕在化している。

 現に直面しているのが京都市だ。門川大作市長は先月、市民生活や地域文化の継承を重要視しない宿泊施設の参入を「今後はお断りしたい」と述べ、誘致方針からの転換を明確にした。

 市は2016年、訪日客拡大の政府目標に合わせて宿泊施設誘致の方針を策定。相次ぐ開業で必要数4万室を上回り、昨年度までに約5割増の4万6千室を超えて増え続けても「富裕層向けが足りない」としてきた。

 だが、民泊やホテルの急増とともに、身近にまで押し寄せる観光客らによる交通機関の混雑や渋滞、騒音や迷惑行為などのトラブルに市民の不満、不安は根強い。地価高騰で住民の流出や地域の空洞化も懸念され、見直しを迫られたといえよう。

 今秋、高級ホテルの進出表明が一巡しての「もうお断り」は打算的にも映り、過剰対策が後手に回った代償は小さくない。市民生活との調和にしっかり軸足を置いていかねばなるまい。

 市は同時に、観光公害の解決に向けた施策の中間取りまとめを公表した。新規、拡充を合わせ50項目の取り組みを盛り込んでいる。

 大きな課題が、観光客の分散化だ。市民生活への影響を抑える鍵を握り、観光地の魅力を維持することにもなる。

 これまで閑散期や朝、夜の観光PRなどで季節、時間では分散化傾向にあるが、清水寺、伏見稲荷大社など有名観光地への集中はむしろ強まっている。

 新施策は、京都大と連携して公式サイト「京都観光Navi」閲覧の頻度や傾向を解析し、ニーズに合った市周辺部などの情報を提供して誘導する。

 混雑緩和が課題の市バスは、運賃を先払いして乗車する「前乗り後ろ降り」方式を全路線の約7割に当たる均一運賃区間に拡大する。乗降時間の短縮が期待されよう。

 宿泊施設への対策は、住民主体の地区計画による立地規制を行いやすくする。業者の施設整備の手続きも改め、住民との調和を強く求めていく方向だ。

 祇園町南側では、観光客にマナー情報を自動配信する実験も始めている。効果的な啓発方法を探り、広げてもらいたい。

 注目されるのが、市が昨秋に導入した宿泊税の使い道だ。総花的で、ハード整備など誘客重視とみえる事業も目に付く。

 住民と観光客のあつれきを減らし、互いに快適に過ごせるための地域の取り組み支援を重点にしていくべきだろう。