参院選がきのう公示され、17日間の選挙戦がスタートした。論点の一つが働き方改革だ。

 今年4月から働き方改革関連法が一部施行された。長時間労働に歯止めをかけ、過労死や健康被害を防ぐのを目的に「月45時間、年360時間」とする罰則付きの残業の上限規制が始まった。

 だが、多くの課題が積み残しになっている。中小企業への適用は1年後の2020年4月からだ。時短勤務など大手の取り組みが進むと、その「しわ寄せ」が中小にいかないか心配されている。

 広告大手・電通の新入社員の過労自殺などをきっかけに、働き方の見直しは関心を集め、日本社会の大きなテーマとなった。

 政府の働き方改革は、安倍晋三首相が「経済再生に向けた最大のチャレンジ」と位置づける労働政策の見直しの総称である。

 17年3月に実行計画がまとまり「残業時間の上限規制」のほか、「正社員と非正規労働者との不合理な格差を是正させる同一労働同一賃金」「高度プロフェッショナル制度」を柱としている。

 昨年の国会で最重要法案と位置づけられた。だが、党利党略の駆け引きが優先され、議論が深められたとは言いがたい。

 基礎資料となった労働時間調査に異常値が見つかり、審議時間も短く、結果的に政府与党に押し切られた格好で成立した。

 本当に働く人に寄り添う改革なのか、むしろ長時間労働や過労死を助長しないか―といった根本的な疑問は解消されていない。

 特別な事情がある場合に規制を超えて働いてもらうことや、自動車運転業などへの適用を5年間猶予することも認めている。

 参院選では改めて中身のある議論が求められる。

 野党の公約には制度の見直しや拡充を求める内容が並ぶ。立憲民主は「残業代完全支払い・みなし残業禁止」、国民民主は「インターバル規制の義務付け」、共産は「高度プロフェッショナル制度の廃止」などを主張している。

 公明は中小企業の活性化へ「働き方改革の実施支援」を盛り込んだ。自民は「100人100色の働き方改革」を掲げ、多様な生き方を支えるとしている。

 働き方を巡っては、女性活躍推進やハラスメント対策、最低賃金引き上げなど多くの論点がある。

 働く人が希望を持てる社会にすることが、生産性の向上にもつながるはずだ。