国立大学の学生寮で現役最古となる吉田寮の旧棟(京都市左京区)

国立大学の学生寮で現役最古となる吉田寮の旧棟(京都市左京区)

 「話し合いで解決できると信じている。大学側は訴訟を取り下げてほしい」。第1回口頭弁論を終えて記者会見した寮生らは、大学執行部との「対話」への望みを口にした。

 2015年11月に就任した京都大の川添信介・学生担当理事は、歴代の教員が「確約」という形で積み重ねてきた寮生との合意事項を引き継がないと通告。寮生とほとんど対話しないまま、提訴の決断に至った。川添理事はこれまでの会見などで「危険な状態をこれ以上先延ばしにできない」と大学の方針に理解を求めてきた。

 一方、この日の会見で寮生の松本拓海さん(23)は「対話の道は閉ざさないと言っている川添さんが法廷に来ていないことはショック」と語った。

 吉田寮自治会は京都市左京区で報告会も開いた。寮問題などを担当する学内の委員会に2014年度から15年度にかけ在籍し、学生との話し合いに関わった木村大治教授も発言。教員側が過去の確約締結で真剣な話し合いを行ってきたとし「それが意味をなさないというのはむちゃくちゃ」と現執行部を批判した。その上で「大学側はこの問題について全学で議論する状況をつくってほしい」と訴えた。

 老朽化を理由に京都大は学生寮「吉田寮」の旧棟(京都市左京区)と食堂の明け渡しを求めて寮生を相手取って提訴。訴訟の第1回口頭弁論が4日、京都地裁(井上一成裁判長)で開かれた。寮生側は請求棄却を求めた上で、寮生が「誰もが持つ学ぶ権利を守り、吉田寮を未来につなげるために闘っていく」と陳述している。

 吉田寮は1913年築の旧棟と、2015年築の新棟、同年に補修を終えた食堂の計3棟から成る。2018年秋には国籍や性別もさまざまな約150人が暮らしていた。

 旧棟は南北に細長い木造平屋建ての管理棟から、木造2階建ての3寮棟が東に伸びる「E字型」の配置だ。現役の学生寮としては国内最古。外観の板張りなど明治時代の木造学校と共通する意匠が多く、建築史学会などは近代日本の文化史・建築学的に貴重な建造物だと指摘している。廊下の床材には良質なマツ材が使われ、足元の壁には湿気対策の通気口があちこちにあり、住環境への配慮がみられる。