厚生労働省が再編や統合を促す公的病院のリストを公表したことが、波紋を広げている。

 リスト上の病院や地元自治体から批判が相次ぎ、厚労省は病院名を公表した狙いや経緯などについて各地で説明に追われる事態になっている。

 医療の質を保ちながら医療費を抑制することが喫緊の課題であることに、間違いはない。

 しかし、いきなり「名指し」という強硬手段に訴えたことが特に地方の反発を招いた。地域医療体制の再構築という本質的な議論が停滞しかねない状況に陥っている。

 リスト公表に至る経緯に、それぞれの地域事情に配慮した形跡は見えない。厚労省は地方の理解を得るために仕切り直す必要があるのではないか。

 9月に公表されたのは、公立病院や日赤など全国1455の公的病院のうち、再編や統合に向けた議論が必要と判断した424の病院だ。京都府の4、滋賀県の5病院も含まれる。

 がんや心疾患、救急、小児、周産期医療など、公立・公的病院が注力すべきと厚労省が重視する九つの分野で診療実績が少なく、「公立や公的病院でないとできない機能を果たしているか」を検証する必要がある、というのが名指しの理由だ。

 厚労省は「あくまで再検証を求める段階で、必要に応じてダウンサイジング(規模縮小)などを含めた再編・統合を地域で検討、合意してもらう」と説明する。

 「機械的に再編・縮小に導くつもりはない。検証の結果、それ以外の結論が出る可能性もある」ともしている。

 だがリストにはすでに医療法人社団の運営に移行している滋賀県の病院が含まれていた。名前公表は最新情報に基づいた分析の結果とはいえず、再編するなら財政支援する、という国の姿勢も「結論ありきだ」と地方の不信を招いている。

 そもそも、厚労省が重要とする9分野のニーズは地方では必ずしも多くないのが現実だ。少子高齢化で小児科や周産期医療の利用者が減少している上、医師不足の影響もあり、実質的に休診状態の公立病院も少なくない。

 需要が多くないなら統廃合せよ、というのは無理がある。病院の存在は暮らしの安心材料だからだ。上から目線で再編を求めても地元は納得できない。

 自治体からは「病院を再編・統合すれば、多くの人が職を失う」という声も出ている。

 とはいえ、公立病院の多くは赤字経営が続き、自治体の財政を圧迫している。自治体側も国の方針を全否定はしていない。

 全国市長会の立谷秀清会長(福島県相馬市長)は厚労省との協議で「『統廃合』が要る公立病院もあるが、最後の拠点という病院もある。地域で議論することが重要」と指摘する。

 もとより病床減のためには、全体の約7割を占める民間病院が手つかずではいられないが、反発も予想される。地域医療の全体像を率直に話し合うことこそ重要ではないか。