商慣行改革について話し合われた「きものサミットin京都」(2018年9月5日、京都市下京区のホテル)

商慣行改革について話し合われた「きものサミットin京都」(2018年9月5日、京都市下京区のホテル)

和装業界の商慣行改善の流れ

和装業界の商慣行改善の流れ

 和装業界に残る前近代的な商慣行を改めようと、メーカーや卸小売業者など幅広い業界関係者が参加する自主組織「きもの安全・安心推進会議」が今春、京都市内で発足した。産地を守り、消費者目線の商いを定着させる業界づくりを目指す。すでに170を超す企業・個人が賛同し、業界に根付く取引慣行を改革できるか注目される。

 同会議は、業界の主要団体幹部ら6人で構成する。流通を代表する京都織物卸商業組合(下京区)の房本伸也副理事長が議長を務め、産地からは西陣織工業組合(上京区)の宮階有二副理事長、販売は全国の呉服店でつくる日本きものシステム協同組合(下京区)の佐々木英典理事長が参画。経済産業省和装振興協議会委員で、着物小売最大手やまと(東京)の矢嶋孝敏取締役らも加わった。

 4月の初回会合では、産地への利益配分を増やす▽すべての取引の書面化▽長期の手形や発注者が一方的に代金を割り引く「歩引き」などの廃止▽消費者に二重価格表示をしない―といった9項目の「きもの安全・安心宣言」の実行に向けた活動をすることを決定。今秋までに宣言に賛同する企業を300社に増やす目標を掲げた。

 経産省の審議会、和装振興協議会は2年前に商慣行改善を促す指針を初めて策定した。その後、業界内では、和装産地、流通、小売りの団体代表らが和装商慣行改善協議会を発足させ、昨年の「きものサミットin京都」などで議論を深めてきた。

 経産省の指針には全国78団体・企業が賛同を表明している。業界でも、歩引きを撤廃する流通業者などが徐々に増加。取引後の小売業者による歩引き要請が撤回に追い込まれるなど、指針の発表以降は時代に合わない商慣行を改めようとする機運も高まりつつある。

 同会議の発足後、日本きものシステム協同組合は全49社の入会を理事会で決定。全国の製造業者でつくるNPO法人「全国つくりべの会」(東京)加盟の127社・個人も賛同を表明した。6月に入り、同会議は参加申込書を400社に郵送、すでに約90社から申し込みが届いている。小売業者でつくる日本きもの連盟(下京区)などの和装関連団体加盟社に加え、百貨店やレンタル業者にも参加を呼び掛けている。

 今後、賛同業者をホームページで公表したり、店頭掲示用ポスターを作ったりして、消費者にアピールする予定だ。房本議長は「産地の疲弊が進み、業界には危機感が募っている。川上から川下までがまとまるチャンスととらえ、取り組んでいきたい」と話している。