月経前症候群(PMS)診断基準(米国産婦人科学会)

月経前症候群(PMS)診断基準(米国産婦人科学会)

 月経前になると、いらいらしたり、抑うつ状態になったり、おなかの張りや頭痛が続いたりすることがある。こうした心身面の不調は、月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)の症状。症状のつらさに加え、周りの人に分かりにくいため、当事者は社会に理解されない状況に苦しんでいる。「こうした症状があることを知ってほしい」との切実な声が、京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」に寄せられた。

 訴えを届けてくれた京都市内の女性(28)が、自らの月経前症候群(PMS)の苦しみについて語ってくれた。
 大学生だった20代前半にPMSの症状に悩まされるようになった。もともと生理痛があり、婦人科に定期的に行っていたので、治療にはスムーズにつながった。
 でも、仕事を始めてから症状がひどくなった。騒音やにおいに過敏になったり、通りすがりの人と目があっただけでいらいらしたり。家族にもきつく当たり、自分をコントロールできずに怖い。
 ひどいときは、夜眠れなくて「どうやったら首つれるやろう」と考えてしまった。不安で頭がさえ、体がこわばる。自分で自分をいたわってあげられず、孤独感に襲われた。
 人間関係や仕事がうまくいかず、ストレスがたまると、症状が重くなる。期間も長くなり、1カ月のうち1週間しか元気じゃないときもある。
 月経日を予測するアプリを使って体調の変化を把握し、しんどくなればやるべきことがあっても仕事を休み、なるべくストレスをためないようにしている。婦人科にも通っている。
 女性でも症状がなかったり軽かったりする人がいて、悩みを話しにくい。救われたのは、PMSに関する投稿サイト。「しんどくていいのよ」「落ち着くようになるから」。そんなちょっとした言葉にほっとした。
 知識や経験を共有できることは大きいと思う。カウンセラーのような人に話を聞いてもらったり、マッサージのお店で体をいたわったりと、PMSのいろいろなコミュニティーが広がってほしい。
 昔、恋人に症状を言えないまま、言葉遣いがきつくなり、体調が悪くなってデートを断ったことがあった。そんなときは女をやめたくなる。悲しかった。
 PMSやPMDDは女性だけの問題ではないと思う。男性にとっても、家族や恋人がこうした症状で苦しんでいるかもしれない。PMSやPMDDのことをまずは知ってほしい。
 でも私自身、PMSを免罪符にはしたくない。PMSだからと開き直るのではなく、いらいらしたら謝るようにしている。改善に向けて努力はしたい。


■成人女性5・4%、生活に支障か 根性論危惧、治療が大事
 月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)の症状や治療について京都府立医科大の北脇城教授(産婦人科学)に聞いた。
 PMSは、月経前に腹痛や頭痛、乳房の痛みといった身体症状や、いらいらや憂うつ感、不安感などの精神症状が現れる。月経になると症状が治まるが、月経時も心身に変調をきたす月経困難症を併発している人もいる。
 精神的症状がさらに強い場合にPMDDと診断される。
 こうした症状は、女性が思春期を迎えるころからみられる。社会生活に支障が出るほどのPMS患者は、成人女性のうち5・4%いるとの報告もある。
 原因ははっきりとは分かっていないが、排卵から月経までの期間に分泌が増える黄体ホルモンが関わっていると考えられている。黄体ホルモンは子宮内膜を厚くして妊娠に向けた準備をするが、こうしたトラブルも引き起こしてしまう。
 「以前は、不規則な生活をしているから、気合が足りない、などと根性論が言われていた」と北脇教授。親や、学校の運動部の指導者の無理解が治療を阻んでいると指摘する。周囲も含めてPMSやPMDDを正しく理解することが求められている。
 症状があれば産婦人科の専門医による診断を勧める、という。子宮内膜症など別の病気を発症している可能性もある。「症状を軽視せず、しっかり診断してもらい、適切な治療につなげてほしい」
 治療法として、生活指導や薬物療法などがある。薬物療法の一つは鎮痛剤で、痛みを取る対症療法となる。根本的な治療には低用量経口避妊薬や、低容量エストロゲン・プロゲスチン配合薬を服用する。これらは一時的に排卵を抑制して症状を抑える。漢方薬を使うこともある。PMDDに抗うつ薬が処方されることもある。
 「いいか悪いかは別として、昔は20歳ぐらいから妊娠し、多産だったので、今より月経の回数が少なく、PMSなどになる可能性が低かった」と北脇教授。女性の社会進出に伴って初産の平均年齢が30歳を超え、1人の女性が産む子どもの数が減り、月経関連症状が増えているのではないかという。「性教育などの場で、月経関連症や子宮内膜症についてしっかりと学ぶことが必要だと思う」

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