発明王のエジソンは1882年、開発した白熱電球を普及させるためニューヨークの中心街に発電所を設ける。出力540キロワット、世界初の石炭火力発電所だった▼これを機に人々の暮らしはガスや石油のランプから電気式の明かりへ変わっていく。電球の改良だけでなく、発電から送電までを含む電力供給システムを築いたのはエジソンの大きな功績だ▼その石炭火力発電が地球温暖化の原因となる二酸化炭素を多く排出し、後の世に国際的な批判にさらされていることを本人が知ったら、さぞ落胆するだろう。今では時代に逆行するイメージがすっかり定着した▼そんな中、欧州では「脱石炭」の流れが明瞭になりつつあるが、日本は先進国で唯一、新設を進め、海外支援も続ける。世界の目は厳しく、安倍晋三首相の国連演説まで断られたというから不名誉な話だ▼パリ協定の始動を来年に控え、気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)がスペインで始まった。日本は安定性や経済性、原発停止の長期化などを石炭火力の推進理由にするが、温暖化による厳しい将来予測が続く中で理解を得るのは難しい▼エジソンにこんな言葉がある。「困るということは次の新しい世界を発見する扉である」。日本政府は困り足りないのか「扉」さえまだ見えない。