政府が「子どもの貧困対策大綱」を5年ぶりに見直し、閣議決定した。

 子育てや貧困を家庭のみの責任とせず、地域や社会全体で課題を解決する意識を強く持つ必要があるとし、貧困の実態を詳細に把握するための指標を、これまでの25項目から39項目に拡充した。

 従来の大綱は生活保護世帯やひとり親家庭の進学率など、子どもの状況をみる項目が中心だった。新大綱では、ひとり親の正規雇用割合や電気・水道など公共料金の滞納経験の有無など、生活実態を詳細に把握する項目を加えた。

 これまでの指標だけでは貧困の実態をつかみ切れていないとする指摘があった。指標の拡充は評価できよう。

 新たな指標からは、支援が必要な世帯の厳しい現実がみえる。

 2015年国勢調査によると、父子世帯の正規雇用割合は69・4%、母子世帯は44・4%だった。

 電気料金の滞納経験がある世帯の割合(生活と支え合いに関する調査、17年)は、子どもがいる全世帯の5・3%に対し、ひとり親世帯は14・8%に達していた。

 政府の対策はこれまで、貧困状態にある子ども本人への支援に力点が置かれていた。今回の見直しで、親の自立支援など子どもが育つ生活環境の改善をより重視したといえる。

 新大綱は「子ども第一の支援」を強調する。問題は、その支援策を、困窮している個々の家庭や子どもにどう届けるかだ。

 今年6月に改正された子どもの貧困対策推進法は、都道府県に努力義務として課していた子どもの貧困対策に関する計画策定を、市区町村にも広げた。

 市区町村には公立学校や生活保護、子育て支援の部署がある。子どもの貧困をいち早く把握できる立場にあるが、職員数や権限の制約があるのが現状だ。

 政府は新大綱で、市区町村の計画策定支援を重点施策の一つに盛り込んだ。市区町村が国や都道府県、NPO団体とも連携し、困窮世帯を着実に支援できる手だてを講じてほしい。

 親の経済的困窮が子どもの貧困につながっている現状を踏まえれば、経済界にも協力を求め、子育てしながら働きやすい環境づくりを進めることも必要だろう。

 当事者である子どもや保護者が声を上げやすい環境をつくることも欠かせない。指標を基に、支援策の効果を常に検証することも重要だ。