アートに関する新たな講座を開設する京都大と凸版印刷の関係者(京都市左京区・京都大)

アートに関する新たな講座を開設する京都大と凸版印刷の関係者(京都市左京区・京都大)

 京都大と凸版印刷は8日、アートの素養を生かして社会でのイノベーション(技術革新)をリードする人材の育成を目指す大学院の講座を総合生存学館に開設したと発表した。創造的な発想力や豊かな表現力を培い、作品制作や産業界への応用にも取り組む。2022年4月まで設置する。

 京大ではかつて芸術学部の設置が議論されるなど、アートへの関心が高かった。総合生存学館の土佐尚子教授と凸版印刷が共同研究に取り組んだ縁で今年5月から産学共同講座としてスタート。大学院生が研究に取り組んだり、学部生に授業を提供したりする。

 講座では、データを重視する従来的な企業での思考法にとらわれず、自由な発想で新規事業を開拓できるような人材研修プログラムの設計や、先端技術を生かして日本美を可視化することをテーマとした芸術作品づくりに取り組む。土佐教授は音の振動を液体に伝え、ハイスピードカメラで撮影して生け花を表現するデジタルアートを研究しており、講座では流体アートについての技術開発、流線型の造形を必要とする物のデザインなど産業応用も試みる。研究では凸版印刷の持つ視覚表現の技術を生かす。

 凸版印刷の大久保伸一副社長は「アーティストの持つ感性は企業にとっても重要」と強調し、土佐教授は「日本にはさまざまな芸術の資源があるのに資本化できていない。新しい価値を創造できる人を育てたい」と話した。