かつて「おくどさん」があった通り庭(京都市上京区・藤田家住宅)

かつて「おくどさん」があった通り庭(京都市上京区・藤田家住宅)

 国登録有形文化財の京町家「藤田家住宅」(京都市上京区堀川通今出川上ル)が改修され、一部が宿泊施設や貸しギャラリーに生まれ変わった。明治期建築の貴重な京町家を保全する目的で、所有者は「国内外の観光客に、本当の京都を感じてもらいたい」としている。

 藤田家住宅は、明治前期の数寄屋作りで、主屋や茶室養心、土蔵のほか、昭和初期に増築された洋室や吹き抜けの空間があり、2015年に文化財に指定された。桐板の天井や書院、磨き壁、神社の神木を利用した幕板など、当時でも手に入りにくい材が使われ、市内でも指折りの町家という。16年に市観光協会主催の「京の夏の旅」で初公開され、約1万人が訪れた。
 宿泊施設にするのは、東側の明治期の町家部分約200平方メートル。庭や土蔵、茶室が見渡せる座敷やベッドルーム、おくどさんがあった通り庭があり、1日1組限定で貸し出す。2階のギャラリーは、天井を抜いてはりを生かし、広々とした空間に仕上げた。改修は老朽化した基礎部分が中心で、間取りなどは変えていないという。
 2日夕に完成式典があり、伝統の式包丁が披露された。所有する柱本めぐみさんは「京町家を維持するために、新しいことに挑戦した。時の流れを忘れられる空間を発信する機会になれば」と話していた。