深刻化する児童虐待に現場の体制が追いついていない―。そんな実態が浮き彫りになった。

 国が「虐待通告から原則48時間以内に子どもの安全を確認する」というルールの徹底を求めたことに対し、児童相談所を設置する自治体の8割で48時間を超過したケースがあった。

 共同通信が都道府県など69自治体に調査した。

 安全確認に時間を要した理由としては「(学校などの)情報から緊急性が低いと判断した」「加害親から離れており所在不明」との回答が多い。

 ルールの徹底は、昨年3月の東京都目黒区の5歳女児虐待死事件がきっかけだった。

 2007年改正の児相運営指針は「緊急性に乏しいと判断したケースを除き、48時間以内に安全確認することが望ましい」とする。

 だが、事件で児相が緊急性を見誤っていたことが問題になり、徹底を促す通知を出した。

 相談が増加する中、厳しい人繰りに現場は疲弊している。児相の取り組み強化は進めるべきだが、対応を一手に引き受ける状況には限界が来ている。

 対症療法的にルールの徹底を求めるだけでなく、関係機関が連携して児相の活動を支える仕組みが必要ではないか。

 子どもの安全が確認できない際に政府が求める立ち入り調査についても、実施したのは8自治体にとどまっている。

 「体罰禁止」の法改正では、児相の体制整備の充実が図られたばかりだ。「介入」を担当する職員と、保護者の相談など「支援」を担当する職員を分け、ためらわずに保護に踏み切れるようにした。

 来年4月から施行されるが、介入と支援を分離すると虐待事例を引き継ぐタイミングが難しくなるなどの懸念もあるようだ。

 現場の実態を踏まえた、実効性のある取り組みが求められる。

 児相が虐待相談や通告を受けて対応した件数は17年度には13万件を超えた。

 今年6月の札幌市の女児衰弱死事件では北海道警の面会に児相が同行せず、連携不足が指摘された。

 背景には、児相がもともと夜間に仕事をする仕組みになっていないといった事情もある。

 どこに問題があり、どんな改善策が可能なのか、一つ一つのケースに即した検証は欠かせない。

 増員はもちろん、専門性を持った人材をどう育成するかが問われる。貧困や孤独感など親の問題にも社会で向き合う必要がある。