ジャパン・オープンのチームフリールーティンで演技する福村(右から2人目)と主将の乾(その右上)=4月、東京辰巳国際水泳場

ジャパン・オープンのチームフリールーティンで演技する福村(右から2人目)と主将の乾(その右上)=4月、東京辰巳国際水泳場

 水泳の世界選手権が12日、韓国・光州で開幕する。大会前半に実施されるアーティスティックスイミング(AS)は、来年の東京五輪で銀メダル以上を目指す日本代表にとって、五輪の前哨戦とも言える重要な大会となる。京都・滋賀からは主将でエースの乾友紀子(近江兄弟社高―立命大出)、初めての五輪出場を目指す福村寿華(鳥羽高―近大出)、初代表入りを果たした熊谷日奈多(立命館高)=所属はいずれも井村ク=の3人が挑む。大会は28日までの17日間。アーティスティックスイミングは12~20日、競泳は21~28日に行われる。

■絶対的エース、若い選手けん引「ソロで流れつくる」乾

 日本代表として11年目となる28歳の乾は、実力、実績、経験のすべてで群を抜く絶対的なエースだ。世界選手権では五輪種目のチーム、デュエットに先立ち、ソロ(非五輪種目)にも出場して同種目自身初となる世界選手権のメダルを目指す。「(チームに)いい流れをつくりたい」と意気込む。

 2度目の五輪となった2016年リオデジャネイロ五輪は、主将として日本に2大会ぶりとなるメダルをもたらした。悲願をかなえた後も意欲は衰えず、大きくメンバーが入れ替わった若いチームをけん引する。

 今年4月下旬のジャパン・オープンでは3日間で計7種目に出場。特に吉田萌とのデュエットのフリールーティンは昨年のジャカルタ・アジア大会で敗れた中国の双子ペアに雪辱した。乾は「まず勝てたことは夏につながる」。ペアを組んで約1年ながら息の合った動きを見せ、自信を深めた。

 今季はソロでも結果を残し、日本代表の井村雅代ヘッドコーチも「世界のソリストに成長してくれることが日本のチームにもプラスになると信じている」と厚い信頼を置く。

 若手が多く、経験の浅いチームに何を求めるのか―。ジャパン・オープン最終日に、そう問われた乾は強調した。「ほとんどのメンバーは五輪を経験していないけど、目指すものは共通している。その中で自分が知っていることは伝え、演技で引っ張りたい」。恩師の期待に応えるように、主将として、エースとしての自覚を強くする。

■自分たちで前回の雪辱を「チームの要」福村

 リオデジャネイロ五輪後に日本代表に加わった23歳の福村は、2017年に続く2度目の世界選手権に挑む。前回は銅メダルだったリオ五輪のメンバーの多くが抜け、五輪種目ではチーム・テクニカルルーティンの銅メダル1個に終わった。「自分たちで流れを取り戻したい」と雪辱を誓う。

 4月のジャパン・オープンでは、出場した全4種目で優勝。それでも「どの種目も練習で失敗してきたことは本番でもうまくできなかった」と反省を口にした。自国開催の東京五輪で「銀メダル以上」というチームの高い目標があるからだ。

 171センチの長身に加え、幼い頃から京都踏水会で培った「立ち泳ぎ」の技術は日本代表でもトップクラス。演技の見せ場であるリフトの土台として、チームに欠かせない存在となっている。

 チーム・フリールーティンは、東京五輪を見据えて用意された新しいプログラムで挑む。「曲の力が(観衆に)伝わると感じた。いろんなところから力をもらえるので、それをプラスにしていけるようにしていきたい」。ジャパン・オープンで得た手応えを胸に勝負の夏を迎える。

■立ち泳ぎに速さ「力で支えたい」初の世界戦、18歳熊谷

 4月のジャパン・オープンで代表デビューを果たした熊谷は弱冠18歳。東京五輪を翌年に控え、ロシアや中国など強豪国が真剣勝負を繰り広げる世界選手権に初めて臨む。

 京都踏水会仕込みの「立ち泳ぎ」の技術を買われ、代表に抜てきされた。演技中は主にリフトの土台を務め「立ち泳ぎの脚の速さと力で下から支えていきたい」と話す。

 ジャパン・オープンでは2種目に出場し、貴重な国際大会の経験を積んだ。「とても緊張した。練習から毎回しっかり力を出し切って、試合でもっといい演技ができるようにこれからも頑張りたい」と練習に励む。

 東京五輪はデュエットとチームの2種目が実施され、代表は世界選手権後に現在の11人から8人に絞られる。「チームのメンバーに入りたい」と生き残りを懸ける。