かんぽ生命保険の大規模な不正販売が明らかになった。

 顧客が新しい保険を契約する際、新旧の契約の保険料を6カ月以上、二重払いさせていた。

 また、旧契約を解約してから新契約を結ぶまでの間を引き延ばし、約4万7千件が一時、無保険状態になっていた。

 顧客に不利益が生じた契約は計9万件を超える。

 かんぽ生命は、政府が株式の3分の1を持つ日本郵政の子会社である。保険販売の9割は、日本郵政の100%子会社の日本郵便に委託されている。

 国や郵便局への安心感を逆手にとった不正の横行に驚く。早急に全容を解明し、経営責任を明らかにしてもらいたい。

 業務改善命令を含めた金融庁の指導も必要ではないか。

 不正の温床になったのは、保険商品の「乗り換え」を巡る手続きだ。

 顧客が新しい保険に替える際、旧契約の解約後3カ月以内に新契約を結ぶと新規契約と見なされず、販売を担当する郵便局員への営業手当は半分になる。

 このため営業現場では、わざと解約後4カ月以上過ぎてから契約を結ぶ手法がまかり通っていた。

 その結果、無保険の間に入院や手術を受けても保険金を受け取れなかった人や、新たな病気で新契約を断られた人が多数いる。

 保険会社の都合で顧客に不利益な乗り換えをさせることは、法律で禁止されているが、かんぽ生命は不利益となる事実の説明をしていなかった。

 それどころか、民営化後、一層厳しくなった営業ノルマ達成に必要な手段として、保険を販売する郵便局員らに浸透していたのが実態ではないか。

 かんぽ生命を巡っては、民営化以後の2007年から12年にかけて約10万件の保険料支払い漏れが発覚し、金融庁の指導を受けた。顧客を二の次にした体質は変わっていなかったことになる。

 低採算の郵便事業を持つ日本郵便にとって、かんぽ生命とゆうちょ銀行からの手数料は経営の命綱である。

 一方で、かんぽ生命にとっては日本郵便の社員の働きが経営実績を左右する。持ちつ持たれつの関係が、外からの批判を遠ざけ、抜本的な体質改善を遅らせてきたのではないか。

 その意味で、親会社の日本郵政にも重大な責任があるはずだ。グループ会社として問題解決に取り組む必要がある。