トランプ米政権が、イラン沖のホルムズ海峡などを航行する船舶を警護する有志連合の結成を目指す考えを表明した。

 6月に日本などのタンカー2隻が攻撃された事件に伴う措置という。激しく対立するイランの犯行と主張する米国が、「航行の自由」を旗印として対イラン包囲網への結集を同盟国に迫った形だ。

 日本はどう対応するか。ホルムズ海峡は日本のエネルギー供給の大動脈で、安全な航行は極めて重要である。

 ここは冷静さが肝要だ。イランはタンカー攻撃への関与を否定している。誰が何のために、日本の船を狙ったのか、今後も続くのか、いまだはっきりしていない。

 有志連合の艦艇が展開すれば、中東の軍事的緊張はいっそう高まる。日本はイランとの伝統的な友好関係も損なうことになる。

 米国の言うまま追従するのでなく、事態を慎重に見極め、平和憲法の立場に則して中東の安定に資する国際協調を探るべきだ。

 有志連合の結成は、トランプ氏の「ホルムズ海峡を渡る船は自国で守るべきだ」との意向に沿っている。米軍派遣の負担を同盟国の肩代わりで軽くしつつ、イランへの圧力を最大化する思惑だろう。

 ただ、緊迫した事態を作り出したのは当のトランプ氏だ。イラン核合意から一方的に離脱して厳しい制裁を再開した上、原子力空母や爆撃機部隊を派遣して敵対姿勢を強めてきた。

 さらに、反発するイランによる核合意の一部不履行に批判が集まるタイミングを見計り、圧力強化に慎重姿勢を取ってきた日本や欧州に共同歩調を求めている。

 日本が参加を求められることは、安全保障政策の根幹に関わる。政府は、タンカー事件で「自衛隊の部隊派遣は考えていない」(岩屋毅防衛相)としていたが、有志連合の計画には「日米間で緊密にやりとりしている」(野上浩太郎官房副長官)としながら説明を避けているのが気になる。

 自衛隊派遣には法的根拠が要る。自衛隊法での海上警備行動や安保関連法に基づく米軍への後方支援なども今回の有志連合に適用するのは無理があり、憲法上の制約を踏み越えることはできない。

 そもそも航路の安全確保は国際社会の共通課題である。拙速に有志国だけで対処する危うさは、イラク戦争などからも明らかだ。欧州などと連携し、国連が主体となる緊張緩和の枠組みを目指すのが日本の立場ではないか。