来春から高校野球で「1週間に500球以内」とする投手の球数制限が導入される。試合日程も3連戦を避けることになった。

 投げ過ぎで肩や肘を痛め、野球を断念する球児は少なくない。故障防止や身体的な負担軽減へ一歩踏み出したことを評価したい。

 投球数の制限は来春開催の選抜高校野球大会を含む春季大会から公式戦に適用され、3年間は罰則のない試行期間とする。

 高校球界では投手を故障から守ろうという意識が年々高まっている。日本高野連は2013年夏の全国高校野球選手権大会から休養日を設け、昨年春の選抜大会からはタイブレーク制を導入した。

 とりわけ投球過多にどう歯止めをかけるかが懸案だった。新潟県高野連が昨年12月、春季新潟大会での球数制限を提起したのが新ルールにつながった。

 疲れが色濃く見えても懸命に腕を振る投手に心を打たれる高校野球ファンは多いに違いない。球数制限により、マウンドを1人で守り抜くヒーローは誕生しないかもしれないが、球児の将来を見据えれば当然の流れと言えよう。

 ただ1試合当たりの制限には踏み込まなかった。軟式野球の全日本連盟は学童野球の投球数を1日70球までに制限し、硬式野球の中学生ポニーリーグも来年から学年ごとに1試合、1週間の投球数の目安を設ける。高校野球が1週間500球以内の制限にとどめた点に賛否は分かれようが、身体の酷使を避けるルールの導入そのものに意義があると受け止めたい。

 一方で、現場指導者らが抱える不安は大きいとみられる。

 硬式野球部員が不足するチームが増える中、有力な投手を多数そろえられる私学などが有利になるとの懸念は強い。ファウルで粘って相手投手に多くの球数を投げさせる戦術が横行するのではといった指摘もある。投手起用の采配など戦術面の変化も出てこよう。

 改革は緒に就いたばかりで、課題は多い。投手の負担軽減で議論するなら1試合のイニング数を減らすのも一案か。飛び過ぎる金属バットも俎上(そじょう)に載せるべきだろう。

 萩生田光一文部科学相が先頃、球児の健康面から「夏の甲子園」に異論を唱え、日程や在り方に一石を投じたが、高校野球の転換点とも言えよう。日本高野連は試行期間にさまざまな状況を検証し、スポーツを通じて心身の健康を培うという原点とアスリートファーストの観点に立ち、必要に応じてルールを見直してほしい。