このまま逃げ切るつもりなのだろうか。「桜を見る会」を巡る国会質疑で、安倍晋三首相は疑惑への説明がいまだ十分ではない。

 2日の参院本会議での答弁は、開き直りのようにもみえた。

 預託商法などが問題視され経営破たんした「ジャパンライフ」元会長を首相推薦枠で招待したとされる問題に関して、「個人情報であり、回答を控える」と従来通りの説明を繰り返した。

 招待者名簿の廃棄については、野党議員からの資料要求とは無関係だと強調し、電子データの復元は「不可能と報告を受けている」と述べるにとどめた。

 人ごとのような答弁であり、疑惑解明に自ら努力しようという姿勢はうかがえない。

 国会での追及をかわし続け、時間切れを狙っているのだろうか。

 今国会の会期は9日まで。会期延長がなければ、首相がこの件に関して国会で直接発言する機会は設けられない見通しだ。

 息のかかった身内を優遇し、証拠となりうる公文書をずさんに取り扱い、国会での質問にまともに説明しようとしない-。

 今回の疑惑は、こうした点で森友・加計学園問題とも通じる。安倍政権のおごり体質を、改めて浮き彫りにしたといえる。政治不信をさらに高めることになろう。

 とりわけ、桜を見る会の前夜にあった夕食会の支出に関しては、後援会員が支払った会費との差額を安倍氏側が負担したのではないかとの疑問が拭えていない。

 場合によっては公職選挙法や政治資金規正法に抵触しかねず、首相の進退に関わる可能性もある。

 決してうやむやにできない問題だが、会場のホテル側に明細書の提供を求める気もないようだ。

 政府は各府省庁が作成した招待者の推薦名簿を提出したが、大半が黒塗りだった。安倍首相ら「政治枠」の名簿は廃棄済みだとして公表されなかった。

 焦点の「政治枠」だけが廃棄されたのはあまりに不自然だ。記録を重視する官庁が電子データの復元もできないと主張するのは、行政に対する責任感を疑わせる。

 桜を見る会については、首相や国会議員が公費を使って支援者を接待しているとの批判がある。招待者の中に不適切な人物がいなかったかも含め、十分な説明責任が必要なことは言うまでもない。

 自民党は野党が求める予算委員会開催には応じない構えだが、疑惑を積み残したまま、国会を閉じることは許されない。