【1】子どもがクレヨンで描いた何かのヒーローの絵(左)、【2】「インスタ映え」間違いなし!?ポップでキッチュな昭和レトロ雑貨(右下)、【3】見知らぬ人からの手紙(右上)[LF]

【1】子どもがクレヨンで描いた何かのヒーローの絵(左)、【2】「インスタ映え」間違いなし!?ポップでキッチュな昭和レトロ雑貨(右下)、【3】見知らぬ人からの手紙(右上)[LF]

 骨董(こっとう)と聞けば、和服を着た中年男性がいかにも古めかしい壺をなで回しながら「いい仕事してますねぇ」としみじみつぶやいている、というイメージが強かった。どちらかといえば「おじさんの趣味」という印象だが、最近は骨董を楽しむ女性が増えている、らしい。なかでも、京都市左京区の岡崎地域で月1回開催されている「平安蚤(のみ)の市」は、オンリーワンな掘り出し物を探す「骨董女子」でにぎわうという。一体何が、彼女たちを引き付けるのか。梅雨の合間の青空が広がった7月10日、興味津々で訪れた平安蚤の市には想像の斜め上を行くディープな小宇宙が待っていた。

■「骨董女子」が闊歩する骨董の都・京都

 悠久の歴史を誇る京都は、骨董の都でもある。東寺(南区)で毎月21日に開かれる「弘法市」と第1日曜に開かれる「東寺ガラクタ市」、毎月25日に北野天満宮(上京区)で開かれる「天神市」と、愛好家が足しげく通う規模の大きい骨董市が月に3度も開催されている。さらに今年4月から、左京区の岡崎公園平安神宮前広場で開かれる「平安蚤の市」が加わった。この「平安蚤の市」が今、骨董女子たちに人気の新しい骨董市だ。実行委員会代表の仲平誠さん(41)は「お客さん、出店者ともに女性の比率が非常に多いです。約140店の出店者のうち、女性店主が3割強くらいですかね。これだけ女性が多い骨董市は、全国でもここだけだと思います」と話す。会場を見渡すと、仲平さんの言葉通り、おしゃれな雰囲気の骨董女子が何人も闊歩(かっぽ)している。

 平安蚤の市は、自身も岡崎で骨董店を構える仲平さんと、同じく骨董店を営む友人の2人が主体となって運営する。全国各地の骨董商が出店しているが、仲平さん曰く「どの店もそれぞれに個性が際立っている。和骨董、西洋アンティークといった既存のジャンルだけでなく、『なんかようわからんもの』が並んでいるのが面白い」という。「いろいろブースをのぞいて楽しんで下さい」と仲平さんに勧められ、骨董女子の隙間を縫いつつ、会場をぐるっと回ってみた。

 センスのいいヨーロッパ雑貨、おしゃれな古着、渋い伊万里の和皿に混じって、なるほど、確かに「なんかようわからんもの」が並んでいる。いやいや、正体不明、摩訶不思議な「モノ」があるわあるわ、「なんじゃこりゃ?」の連続…ということで、気になったものをいくつか撮影したので、一部を写真で紹介したい。

【1】子どもがクレヨンで描いた何かのヒーローの絵

 スーパーマンにそっくりな水色の服を着ているが、顔が全然違って、もじゃもじゃロン毛のひげ面みたい。裏には、戦闘機と思われる飛行機がこれもクレヨンで描かれていた。鳥取県倉吉市で骨董店「YIIPUN UMADA(イープン・ウマダ)」を営む馬田明さん(37)と山根直子さん(37)のブースで見つけた。「たいていの子どもの絵は背景が真っ白だったり、余白が多かったりするんですけど、これは背景もオレンジ色のクレヨンでしっかりと塗ってあるし、輪郭の線も力強くていいですね」と馬田さん。「たぶん50年くらい前の作品」といい、価格は6000円と結構いい値段。

【2】「インスタ映え」間違いなし!?ポップでキッチュな昭和レトロ雑貨

 昭和の駄菓子屋みたいな、懐かしい雰囲気の雑貨が並ぶ「舞妓アンティーク京都」のブースで見つけたのが、これ。店舗は京都市東山区にあり、主に外国人観光客向けの商品を扱っているという。昭和レトロな感じの品物が多数あり、「インスタ映え」しそうなモノが多い。店主の芳賀正人さん(45)に「インスタ映え」しそうなおすすめをたずねると「この『赤ちゃんの会議』とかどうですか?」。もはや設定とか全部が謎だが、後ろのドクロも含めてすごいポップでキッチュ。

【3】見知らぬ人からの手紙

 ショッキングピンクの封筒に入った見知らぬ誰か宛ての手紙。裏には差出人の名前があり、封筒の中には白い便せんが複数枚入っている様子。「中も見ようかな」とちらっと思ったが、勇気が出なかった。こちらのブースでは店主らしきおしゃれな男性が椅子に座ったままうたた寝中。「写真撮っていいですか?」と声をかけたら、ちらっと目を開けて、ゆっくりとうなずいてくれた。全体的に(いい意味で)非常にゆる~い空気感が漂っていた。これがチルってやつか。

■「骨董」だけじゃないから「女子」に人気なのかも

 平安蚤の市は、従来の骨董の枠に収まりきらないさまざまなモノが並んでいた。各ブースに並んでいる品物を見ているだけでも楽しいし、気になった品物を手に取り、個性豊かな店主と交わす会話も面白い。ベビーカーを押した友人と一緒に会場を回っていた会社員の女性(34)は「古くても、よく手入れさているものは家具も雑貨もいい味が出ている。量販店で売っている商品にはない魅力がある」という。

 いかにも「骨董」という感じの古めかしい壺や皿ももちろん並んでいるが、女性店主が直接海外で買い付けてきたという雑貨や古着など、手頃な価格で購入できる「一点物」もまた多くある。それぞれのブースに店主の世界観が表現されていて、「ならでは」の良さがにじむ。実行委員会代表の仲平さんは「毎回出ている店もあるが、その時々で出店者の顔ぶれも品物も異なる。まるで音楽のセッションみたいな、自由な楽しみ方がある。これからも、骨董の世界と若い感性がミックスされた空間を育てていきたい」と話している。

【平安蚤の市】

 ほぼ毎月10日前後に、岡崎公園平安神宮前広場(京都市左京区)で開いている。開催時間は午前10時~午後4時。次回は8月11日(日)に開催する。詳しくは平安蚤の市ホームページ(https://www.heiannominoichi.jp)または実行委員会メールアドレスheiannominoichi@gmail.comまで。